「日経学生ジャーナル」 平成11年6月1日発行
こだわりの職種選び   
政治家になる!

根本的に汗を流さない人間はダメ
まずは自分の選挙区の政治家を知ることから始めて下さい。


 国会議員になって4年。
ダイオキシンなどの環境問題やスポーツ振興法の改正、開かれたODA(政治開発援助)を目指してのODA基本法改正など広範な政策実現に向けて活躍する馳浩参議院議員。自身の体験をもとに、政治家を目指す学生へのアドバイスを語ってもらった。


 国会議員になったきっかけは?

 「95年の参議院議員選の2ヶ月ほど前に、自民党の森幹事長から選挙に出ないかとの要請がありました。『公募したが適当な人がいなかった、それなら知名度のある馳ではどうか』という話になったようです。
 そのすこし前に北朝鮮でプロレスの試合をしましたが、生活は聞きしに勝る状態。早く国交を正常化しなければという思いを強くしていたところにこの話を頂きました。
 民間での取り組みには限界がありますが、国会議員ならそれ以上のことができる。さらに教育問題に取り組んでみたいという思いもあり、即座に『やります』と答えたんです。
 森幹事長は逆にビックリして、『普通なら奥さんに聞いてから返事をするのに。それに選挙資金はどうするんだ』と心配されたほどです(笑い)」

 

 奥さんの反対は?

 「『やれば』と一言。全然深刻じゃないんですね」

 

 なぜ当選したと思いますか?

 「私が出た石川選挙区では24万から25万人の県民が『馳浩』と書かなければ当選できません。有権者が世代交代を望み、教育者としてまたプロレスラーとしていろんな経験を持つ私を見て、こういう人が国会議員になってもいいのではと考えたのだと思います」

 

 当選しての感想は?

 「当選した当初は、23万5000票という数字が実感できませんでした。『俺なんかでいいのかな』という思いは確かにありましたね。しかし選んでもらった以上、若いからとか勉強不足とかの言い訳はききません。
 がっぱ(金沢弁で「一生懸命」の意)になってやるしかないと思いました。
 4年目になりますが、政治の世界ではまだ素人同然。有権者からの質問に答えられるようにしっかり勉強しています」

 

 政治家に求められる資質は?

 「根本的に汗を流さない人間はダメ。それから人に好かれる人間でなければ務まりません。有権者の政政治意識は非常に高くなっています。
 政治家が何を話しているかではなく、その政治家がどれだけ自分たちの話を聞いてくれるか、さらにその話を理解してくれるかに関心があります。
 ですから自分を応援してくれる人はもちろん、批判的な人の所にも足を運んで話を聞くことが大切。人に好かれる人、つまり人間性が重要なのです」

 

 毎日忙しく、体力的にもきついと思うのですが?

 「週に1度は地元金沢に帰っています。休日でも陳情があったり、いろいろな行事があり、確かに体力勝負ですね。ただ、国会には高齢の議員の方が大勢いますが、みなさんすごく元気です。私は(プロレスの)試合前には毎日2時間くらいトレ一ニングをしています」

 

 政治家を目指して学生が今からやっておくことは?

 「旅をして欲しいですね。自分で計画し、汗して自分で稼いだ金での旅です。
 ボランティア活動なんかもいいと思います。いろんなことに興味を持ち経験すると問題意識が生まれます。
 それから文章を書く練習をすること。政治家は文章が書けなければダメ。口頭ではなかなか伝わらないことも文章にすればわかりやすくなるし、自分の考えをまとめることにも役立ちます。メールでのやり取りにも必要ですから」

 

 政治家になる方法は?

 「秘書や官僚になることが一つの方法として考えられますが、社会の縮図の中で市民運動などを経験し、そこから政治家を目指してもいいのでは。
 あと、商社勤めの人とか、官僚でも外務省の人あるいは経団連、中小企業の団体などからも政治家が出てもいいと思います」

 

 最後に、政治家を目指す人にアドバイスをお願いします。

 「まずは、自分が住んでいる選挙区の政治家を知ることから始めて下さい。どんな政治家がいてどんな党派に所属し、どんな活動をしているのか、新聞や公報を通じて調べること。
 それから自分がどんな政治家になりたいかを考えるといいと思います。調べもしないで政治家のことを批判する人がいますが、これは論外です」

 


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