Kawade夢ムック

仕事力の強化書

自分をブチ壊せ!新たな一歩を踏み出せ!

ISBN:4309962629 河出書房新社 平成14年12月掲載


転換点に立ったときの、私の考え方・動き方

 「何かを変えたい―」そうは思っていても、「でも、不安だから・・・」と、アクションが起こせない。しかし、「いま、輝いている」人たちでさえ、そうした不安を乗り越えてこそつかんだ、“いま”なのだ。さあ、自分自身に問いかけてみよう

『いまのままでいいのか!』


国語教師  プロレスラー  国会議員

「人に何かを伝える、という面で、すべてはつながっているんだよ」

自分の能力が発揮できると確信できるチャンスがあれば、おれは迷わず飛び込んでいく―。

 

 高校時代、馳浩には2つの明確な夢があった―。

「国語の教師」と「レスリングを極める」ことである。

「中学の頃から、国語の教師になろうと思っていたからね。理由? 文学が好きだったからだよ、ただそれだけ。レスリングもそう。ジャイアント馬場さんの影響で、小さい頃からプロレスファンだったんだよね。それで高校に進学したとき、レスリング部に入った」

2つの夢の実現にただ向かっていった高校時代―。

 高校時代は、まさに2つの夢を実現するための“助走期間”であった。

「国語の教師になるには、大学に行かなくちゃいけない。でも、オレは頭が良くない。ならば、レスリングのスポーツ推薦で大学に入ろうと。学費もかからないしね」

 思惑通りというべきか、高校3年時には、団体優勝を果たすなど、レスリングの活躍は華々しく、その結果、レスリングの名門・専修大学にスポーツ推薦で入学することになる。

 そして大学時代は、アマレスの90キロ級グレコローマンの学生チャンピオンになり、その栄光を引っ提げ、卒業後、母校である石川県の星稜高校に国語の教師として赴任する。

 まさに2つの夢をかなえた形の馳だったが、教師就任1年めにして、早くも一つのターニングポイントを迎える。

 ロサンゼルス・オリンピックのアマレス・グレコローマン90キロ級の代表に選ばれるのだ。

 「最初は、今後の教師としての自分自身に役立つかもしれないぐらいの気持ちだった。でも、参加したら、スポーツって、一生懸命練習して、勝負に勝つだけではなく、いろんな人に感動を与えられるものなんだなって、思ったんだよね。勝ち負けじゃないんだって。そのとき、脳裏に浮かんだのが、プロレスだった」

 プロレスといえば、実力だけでなくパフォーマンスも重要視される浮き沈みの激しい世界である。

 せっかくの教師の道を捨ててまでも、と思う人もいるかもしれない。

当時23歳。まさにラストチャンス。だから飛び込んだ 

 「捨ててないじゃん。教師としての資格は残っているんだもん。それより、オリンピックに出たことで、プロレスができる自信がついたんだよ。尊敬できる先輩も誘ってくれた。当時23歳。ラストチャンスかもしれない。だから、飛び込んだんだよ」

 尊敬できる先輩とは、長州力(現・WJプロ)。彼が率いるジャパンプロレス (当時) に入団、「人に感動を与えられる、毎日がオリンピックのような日々」(馳)を実体験していく。

 その後、新日本プロレスに戦いの場を移し、数々のベルトを巻くなど、トップレスラーとしての地位を不動のものにしていく。

 そんなプロレスラーとしての脂が乗りに乗っているとき、2度目のターニングポイントが訪れる。時は95年4月。プロレスの試合のため、北朝鮮の平壌に赴いたのが、きっかけとなった。

「国の体制、経済状況、雰囲気、そのすべてがカルチャーショックだったんだよね。すごく政治的な関心が深まった。日本との国交正常化の必要性も感じたしね。北朝鮮でプロレスを行う、いわゆる“交流”では限界があると感じた。

 たまたまそのとき、森喜朗さん (当時の自民党幹事長) から声がかかって、『馳君が選挙に出たらどうかという人がいるんだけど、どうだろう』と。これはチャンス、いや一つの運命だと感じたんだよね。今度はプロレスを開店休業にして、勝負をかけようと」

より強い力を持つため2000年6月、衆議院議員へ

 そして、95年7月、第17回参議院議員選挙で石川県選挙区から出馬、現職候補との激しい選挙戦の末、当選を果たした。00年6月には「より強い権限を持つ」(馳)衆議院議員へと階段を駆け上がっていく。

 そして、現在、衆議院議員として多忙な日々を過ごすなか、全日本プロレスの所属レスラーとして、不定期ながら、試合にも出場し、会場を沸かし続けている。

「自分の能力は何かをいつも探し求め、1人でも多くの人に、その能力が役に立てばいいかなって思っているね。だから、そういった能力が発揮できる可能性のあるチャンスがあれば、オレは飛び込んでいく。今後もそうだよ」


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