馳浩の
   永田町は、ほっかむり・・・

 

平成12年5月3日大阪新聞掲載


 

ストーカー、許さん!!

 

 いったい世の中はどないなってるの? どうしてストーカー被害のエスカレートした犯罪が増えてきているのだろ? 先日も国会事務所でデスクワークしていると、知り合いのラジオディレクターから電話がかかってきた。

 「会社の同僚の娘さんが、昔つきあっていた彼氏につきまとわれて、ノイローゼになってるんだって。無言電話とか、待ち伏せとか尋常じゃないんだ。で警察に何度も相談しても、民事不介入だとか、直接被害がないのなら話し合いでなんとかといって、ラチがあかないんだそうだ。最近はストーカー殺人事件も報道されているから、気が気じゃないんだそうだ。ハセ君に言ってストーカーを取り締まれるようにしてくれって言うんだ。ハセ君、何とかなんないの?」と切実な訴え。

 「そんな身近な大問題だとは思いませんでした。さっそく党内のしかるべき機関で声を挙げてみます。その娘さんにはとにかく証拠をつかんで警察に提示して取り締まってもらうよう言ってあげてください」

 この電話の翌日、私はさっそく参院自民党の執行部会で発言した。

 「ストーカー被害は今や社会問題です。放置しておけば犯罪もエスカレートします。ストーカーの定義を設定し、そういうつきまとい行為を警察がしっかり取り締まり、社会的に罰するシステムが必要です。議員立法で参院自民党から提案すべきです」

 じっと聞いていた村上正邦議員会長も賛同してくださり、さっそくその場で吉川芳男政審会長に、ストーカー対策法案の検討を指示するという素早い対応をしてくださった。こういう決断と思いきりの早さが村上会長の持ち味。

 さて、その翌日には第一回の会合を開き、以降、実態把握、現状での対応の限界、法的根拠、骨子案作り、省庁からの意見聴取が精力的に行われた。そして連休前の4月28日に、この法案の担当になった松村龍二政審副会長から骨子案が提示された。松村さんは警察のキャリア官僚出身だけに、自分の経験をフル回転させて取りまとめに走り回っていた。

 まず、定義は以下の二つ。

(1)「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛の感情その他、性的な感情または怨念の感情を充足する目的で、当該特定の者またはその配偶者、直系もしくは同居の親族その他社会生活において密接な関係を有する者に対して次に掲げる(7項目の)行為のいずれかをすることをいう。

(2)「ストーカー行為」とは、同一の者に対してつきまといなどを反復して行うことをいう。

 そして(1)(2)の行為に対して「警告」「中止等を命ずる」ことができるようにし、罰則についても、最高一年以下の懲役または百万円以下の罰金を設けることにした。

 連休明けにも野党との交渉をまとめ、全会一致の委員長堤案という形にして、速やかに成立させる予定だ。

 それにしても、法律まで作らなきゃいけないストーカー天国の日本って、絶対おかしい!!

 

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