馳浩の
   永田町は、ほっかむり・・・

 

平成12年4月5日大阪新聞掲載


 

政治家と拍手!!

 

 政治家ほど拍手の好きな人種? はいない。あいさつに立てば拍手。演説の途中で拍手。名前を紹介してもらえば拍手。祝電を紹介してもらえばまた拍手。さすがに弔電や弔辞の時には手を叩こうとしても思いとどまっているが。

 なんなんだろう、この政治家と拍手という因果関係とは?

 私も永田町に入って5年たつ。最初は一般人のままであったから、やはり違和感があった。議員総会で、幹事長、政調会長、国対委員長があいさつに立つたびに拍手をする国会議員の姿には、マインドコントロールされている集団という印象があった。

 そうは思いながらも自分もつられるように手を叩いていたけど、もともとがプロレスラーである私は、拍手というのは感動を演出する自然発生の行動というように位置付けていた。しかしながら国会においては、政治家のプライドをくすぐる強制的なしきたりとしか思えなかったのである。

 拍手を受けてご満悦そうな政治家の表情を見ていると、かわいいモンだなぁ、単純だなぁ、古いしきたりだなぁ、と思っていたし、拍手をしている政治家を見て、本当に心の底から手を叩きたくて手を叩いているのかなぁ、と不思議に思っていた。

 さて、そんな拍手をすることに違和感のない国会で、最近二つの動きがあった。金のかからない小さな国会改革である。

 斉藤十朗参院議長が本会議場に登場し、議長席に着くときに、どこからともなく大きな拍手が湧き起こるようになった。気をつけてチェックしていると、それは私の前方の席。ということは、自民党一年生議員の中でも平成10年の選挙で当選してきた「十年会」の皆さんの集団。見ていると、「ホラ、斉藤議長がおいでなさった、皆んなで手を叩こう!」

 と音頭をとっている人がいる。山形選出の岸宏一さんだ。何で? と聞いてみた。「議長だって拍手されるとうれしそうじゃない。誰だって拍手されると心が暖かくなって前向きな気持ちになるでしょ! 斉藤議長のテレ笑いみてると、我々十年会のメンバーもヤル気が出るんですよ!」

 というわけで、いつしか議場全体が、議長登場の際は拍手で迎えるようになった。

 もう一つは「野党の委員長が本会議で登壇するときに、自民党も拍手をして盛り上げてやろうじゃないか! 野党だろうが、委員長は委員長、委員会運営には公正無私で臨んでいるんだから、盛大に拍手して景気付けてやろうよ!」との村上正邦自民党議員会長の提案。

 さっそく先週から実行に移された。

 喜々として手を叩く、自民党議員。

 今までにないことにびっくりする民主党や共産党の議員団。一部からは「ホメ殺しか!?」とのやじも。そして、やっぱり拍手を受ける委員長はテレ笑いしながら自民党席に深々と一礼。うーん、拍手は与野党の潤滑油だ!!

 

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