馳浩の
   永田町は、ほっかむり・・・

 

平成12年3月15日大阪新聞掲載


 

たこ部屋住まい?

 

 国会対策委員会。俗に国対(こくたい)と呼ばれている。衆参両院の本会議や各委員会の運営についての権限を握っている。政府から見れば、国家予算や内閣提出法案の命運を左右する機関であるだけに、国対のメンバーに対しては常に平身低頭。折にふれて、青木幹雄官房長官が自ら現場に足を運ぶほどの影響力を持っている。

 私は、その国対の参院自民党副委員長。

 私の役割を詳しくお伝えしておこう。

 まず、毎日午前と午後の国対正副委員長会議に出席。自分がかかえている委員会の動きを報告し、国対メンバー同士で情報を共有しあう。この会議では、まず、議院運営委員会、衆院、各委員会の報告がなされる。私は、経済産業委員会、文教科学委員会、労働社会政策委員会、沖縄北方特別委員会の担当。それぞれの委員会の理事から情報を仕入れ、国対正副会議の場で、片山虎之助委員長から提示を受けるというわけである。当然、その指示は再度各理事に伝えることになる。

 同時に、各省庁側からのお願いも聞く。お願いとは、法案を円満に成立されるための方針である。法案の性質によって、質疑、参考人意見聴取、公聴会のセットを、各理事に指示するためである。

 そして、参院の各委員会所属の事務方の職員からも情報を仕入れる。委員会運営の事務方から、衆院との連係、大臣の委員会出席の可否、過去の委員会運営の実績などの情報を仕入れておくことによって、円満に与野党の対立をもみほぐしていくためである。

 つまり、一言で言えば調整役、行司役、中間管理職、といえよう。

 国会開会中、とりわけ3月は国家予算成立に向けて、私は国対の部屋に常駐することが義務付けられる。報告、連絡、相談にずれが出ないようにするためである。通常国会ではだいたい100本近い法案が国会に提出される。そのすべての情報に通じ、野党の抵抗をやわらげ、十分な審議を確保し、衆参両院で可決、成立させていくための下支え、根回しが最大任務。当然、与野党の対決法案の時は、根回しがうまくいかず(野党が廃案を求めているとき)力仕事になることもある。力仕事とは、強行採決と、それに便乗しての乱闘騒ぎである。私などはプロレスラーであるだけに、与党幹部からは頼りにされ、野党幹部からは目のカタキにされている。

 ちなみに、乱闘騒ぎというのはヤラセである。筋書きは与野党の国対同士で打ち合わせ済み。与党としては、法案を成立させるという大義があり、野党としては反対しましたよという姿をマスコミを通して国民に知らしめるために、あえて、やむをえず乱闘するのである。ただ、ケガだけはさせないようにとの暗黙の了解は、ある。

 緊張感の続く国対メンバーの控室は、たこ部屋と呼ばれる。情報がとびかい、怒声やイライラが爆発することしばしばだからである。国会のガス抜き部署、とでも言えようか!

 

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