馳浩の
   永田町は、ほっかむり・・・

 

平成12年3月1日大阪新聞掲載


 

加藤紘一が好きだ!!

 

 衆院で予算委員会の公聴会が精力的に行われていた24日午前中、自民党のミャンマー議員連盟の会合が院内でひっそりと開催された。私はメンバーの一員ではないのだが、議連会長の古賀誠国対委員長から『人が少ないから出てよ』と頼まれて出席した。

 外務省の東南アジア課長や、経済協力局の担当者を呼んで、日本とミャンマーの関係を事情聴取したうえで、今後の外交に必要となる指針を、与党自民党の国会議員側からバックアップ(リード?)していこうという趣旨の集まり。

 部屋に入っておやっ? と思ったのは、宏池会(加藤派)のメンバーが多いこと。加藤紘一会長自ら出席。高村正彦前外相(河本派)が『ここは宏池会?』といった風情。清和会(森派)の私としては、気合が入る。対抗心メラメラ。

 でも、加藤氏と目が合って黙礼したら、ニッコリと微笑みを返してくれるやないの!! 感じイー!! それだけでも好感アップしたのに、『馳くんは国語の先生だったんだよね!!』と、みんなの前でわざわざ声をかけてくださるなんて、ウレチー。

 こんなフレンドリーな気さくな人だなんて知らなかった。無口で冷たい居丈高な印象だったのに。この一言でコロッと参ってしまった。有頂天の私は『そーなんです。源氏物語と伊勢物語なら任せてください』とこたえると、またまた加藤氏。

 『へぇー。見た目とはずいぶん違うんだねぇ!?』

 ・・・一言多い! っちゅうの。でも、ごきげんな私は愛想良く『ハイ、よく言われるんですョー』と元気に返事。

 こんなちょっとしたやりとりでも、いや、こういうちょっとした交流こそ、政治の世界では重い意味をもつと思う。私は森派。ましてや地元・石川県の大恩人である森喜朗幹事長のしもべ。そういう、毛色の違う議員に対しても気さくに声をかけて激励することの意味の大きさは、永田町の政治家評を左右する。

 こういうことが積み重なると、いくら加藤氏が自自公連立を批判し、財政構造改革の必要性を主張して小渕経済政策を攻撃し、党内で現執行部の足を引っ張ろうとも、次期総裁の目は消えることはないだろう。政治なんて算術じゃなくて最後は仁術なんだから、やっぱり好感度、人柄次第。

 さて、肝心のミャンマー議連は、その加藤氏の演説でしめくくられた。

 『外務省の対ミャンマー政策は、アメリカの顔色をうかがいすぎる。中国の天安門事件、ロシアのエリツィン大統領就任の経緯からすれば、民主化、人権問題を盾にミャンマーに対して手厳しいアメリカの態度は明らかにダブルスタンダード。日本は、日本の国益を念頭に、対ミャンマー政策を構築すべき。それをリードするのが、われわれ政治家だ。以上』

 んー、なるほど、だ。俺は森派だけど、やっぱり加藤紘一が好きだ!!

 

INDEXに戻る