馳浩の
   永田町は、ほっかむり・・・

 

平成12年2月16日大阪新聞掲載


 

狭き門だよ比例代表

 

 あんなに永田町全体が大騒ぎしていた大阪府知事選と京都市長選も、投票日が過ぎてしまえばもう、遠い過去。2つのしこりを残しただけだ。

 1つ目は、自民党大阪府連と党本部とのしこり。今年中に行われる衆院解散・総選挙に向けて、公認決定の権限は党本部にある。大阪府下の各候補者は、府議と党本部の板ばさみになって困っている。

 2つ目は、太田房江新知事と自民党府議団の微妙な距離、というしこり。万が一、共産党と自民党の府議団が手を組んだら(ないと思うけど)条例一本通らない。

 この2つのしこりは、谷川秀善参議院議員が両者の間に割って入ってもみほぐすしかないだろう。その谷川のおやじ(平岡龍人氏陣営)は党本部では今回の責任をとって副幹事長を自ら辞任し、後任に釜本邦茂議員(太田氏陣営)を推薦した。いさぎよい。選挙の後始末をしっかりするのも政治家の才能だ。

 さて、選挙のたびごとに不死鳥(ゾンビ?)のようによみがえる自民党内の次の課題の一つは、衆院比例ブロックの侯補者調整。私の選挙区、石川県が所属する北陸・信越ブロックの両院議員懇談会が党本部で行われ、選挙での勝利ムードを吹き飛ばす激論が闘わされた。

 北陸・信越ブロックの自民党現職は5人。先日、20人の定数削減された公式を当てはめると、次回は4人の見込み。当然、各県連の純粋比例ワク確保へ向けての理論武装は強まり、各県連の主張のサヤ当てが厳しくなる。

 福井県は「比例単独ワクで、平泉渉前議員を救ってほしい。福井一区で自民党公認争いでもめている。党への長年の貢献があり、閣僚経験者でもある平泉さんを比例単独ワクで登載してほしい」と主張。

 石川県連会長の私も負けずに「比例現職の坂本三十次衆院議員は引退の意向。もともと坂本氏は石川三区で現職の瓦力防衛庁長官と公認争いをして比例にやむを得ずまわった経緯がある。ましてや三区は自民党の金城湯池。ぜひ後継の一ワクを。そして石川一区は新人を出すので比例重複の配慮をしてもらいたい」と主張。

 富山県は、比例単独の2議席を抱えている。富山三区で、綿貫民輔、橘康太郎、萩山教厳の三氏の選挙区調整が前回つかなかったからだ。

 橘、萩山両氏が引き続き比例の二ワクを求めるのは当然。ましてや富山県は自民党組織率全国一位の自民党王国。

 新潟県も、同様に比例単独の二ワクを求めている。高鳥修、村山達雄の二氏。こちらは得票数第一位の実績をタテにゆずらない。

 長野県は、三区の事情を背景に比例重複での優遇を求めている。長野三区は、民主党幹事長である羽田孜さんの地盤で、この地から自民党候補を出馬させる環境づくりとして、比例との重複を求めているわけだ。

 五県それぞれに言い分があり、まとめるの難航必至。比例代表はますますせまき門になったということ。自民党内、これからもっと波高しというわけだ。

 

INDEXに戻る