馳浩の
   永田町は、ほっかむり・・・

 

平成12年2月2日大阪新聞掲載


 

寝た子は起きる?
攻防は参院へ

 

 歴史的瞬間を見に行こうよ! の一言で、おじさん3人が肩を並べて衆院本会議を傍聴。

 歴史的瞬間とは、1月27日午後8時30分。そう、衆院議員の比例定数を20人削減する法案を可決するための本会議開会時間。おじさん3人とは、参院議員の松村龍二(福井)、三浦一水(熊本)、そして私。

 松村さんは東大在学中から、新聞を読んで何か国会で大きな動きがあると知ったら、たまらず国会まで見学にやって来てたという筋金入りの国会ウオッチャー。安保闘争で国会正門前で激突があったときも、わざわざ朝から何が起こるかハラハラしながらずっと見守っていたそう。

 三浦さんが「じゃ、松村先生は学生時代からバリバリの『右』だったんですねェ。それで警察庁に入ったんですか?」「ところが違うんですよ。私はノンポリでした。ただ、福井の田舎から出てきて、何でも見てやろう精神が旺盛だったんですよ」

 そこで私。「ふーん、だから国会議員になった今でも国会内にもめ事があると、まっ先に駆けつけるんですネ!」「うん。何か、からだが熱くなってきてさ」

 さて、からだを熱くしたおじさん3人が傍聴席から熱い視線を送っているにもかかわらず、議場はおだやかだった。

 一説では、民・共・社が実力阻止に出て、伊藤宗一郎議長に議事進行をさせないためにら致するんじゃないかとまで言われていて期待? していたのだが、時間通り着席。当然、野党欠席。開会のベルを押す、押さない、押させないで7時間あまりも水面下でもめていたとは思えない活気と和やかさ。自由党の小沢一郎党首だけは仏頂面で胸を反り返らせている。

 自民党の森喜朗幹事長はニコニコしている。後に座っている小渕恵三首相の耳元でこそこそ話をしてほほ笑み合っていたかと思えば、渡部恒三副議長の席までわざわざ出向いて、これまた苦笑いしながら深々と頭を下げたりしている。おそらく議長、副議長のあっせん案を拒否し、とにかく27日中の採決にこだわって強行したことをわびているのだろう。しかし心からわびている風でもなく、その会心の笑みには「してやったり」の策士の思惑もにじみ出ていた。

 そうこうするうちに、桜井新委員長が委員会報告を終了。議場は与党三党のみだけに、淡々と、粛々と議事進行。時折「伊藤議長! よくぞ開会ベル押した!」「予算もこのまんま(野党抜きで)やろうかー!」など威勢の良いやじが飛ぶだけ。

 そして採決。総員起立。あれ? 渡部副議長は座ったままなのに、伊藤議長は「総員起立! よって本案は可決!」と叫んでるぞ。いいのかなぁ・・・。ものの5分で終了した。あんなに定数削減でやりあってても、手続はあっさりしたものなのね。後は参議院の手続か!

 にしても、だ。野党はいつまで寝てる(審議拒否)つもり。このままだと、さらに森幹事長のほほ笑みが高笑いになっちゃうよ!

 

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