馳浩の |
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平成12年1月26日大阪新聞掲載
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参院国会対策委員会の控室(別名たこ部屋)でコーヒーを飲みながら20日の通常国会開会日のあわただしさをかみしめていると、苦笑いしながら山崎正昭議員(福井選出)が入ってきた。「いや−、またドロンされた。Kさん(野党の国民福祉委員会理事)おらんわ。一応午後3時に帰ってくるらしいけど、どこさがしても見つからん。いつもの作戦やろけど、せめて話し合いの席には着いてもらわんとな!」
これを受けて片山虎之助国会対策委員長。
「年金改正案は野党のかたも連合にあおられて絶対反対の強硬姿勢だから、国会対策もいろんなからめ手でくるよナ。いきなり開会日から野党筆頭理事がドロンか・・・。ベテランの山崎さんに与党筆頭理事についてもらったから期待しているけど、話し合いの場に出てこないようじゃどうもならんなぁ。とにかくがまん比べだから、山崎さん、頼みます」
「あいよ。わかりましたで!」
こういう会話がこれから150日間、タコ部屋のなかで連日、くり返されることになるのだ。
昨年の臨時国会。衆院で荷崩れ(法律案が異常な状況の中で衆院から参院に送付されること)をしたまま送られ、継続案件となっている年金改正法案の審議の舞台は、参院の国民福祉委員会。その与党筆頭理事にばってきされたベテランの山崎議員も、さすがにこれには国会冒頭から往生しているわけだ。
その与野党攻防の背景はこうだ。
衆院の定数削減問題を冒頭処理したい自自公。なんとか野党の民共社連合を切り崩すために、アノ手コノ手で仕掛ける。しかし野党連合もさる者!
逆に自自公のワク組みを崩し、その乱れをついて解散、総選挙に追い込むために一歩も妥協しない。与野党それぞれが議長のあっせんによる幹事長、書記局長会談でも歩み寄りを見せないのだから、当然、国会の他の動きは衆・参ともにストップがかかってくるわけ。つまり、衆院の定数削減問題の処理が、参院の年金改正案の審議にまで悪影響を与えてしまっているわけ。
「衆と参は関係ない! 年金改正案の日程協議くらいしようよ!」と迫る山崎理事に抗し切れないK理事は、お得意(?)作戦で時間引き延ばしに出た、というわけ。
結局、Kさんもいつまでも雲隠れしていられるわけもなく、翌21日には、山崎さんに捕まって、日程協議。ただ、それにしたってやっと25日の理事懇談会の開催が決まっただけ。野党は徹底して時間かせぎ抵抗作戦に出て、法案を廃案に持っていきたいようだ。
にしても、まるでこどものケンカのように見えてしまうのはなぜだろう? ここは国権の最高機関の国会であるというのに、交渉のテーブルにもつかないで与野党が神経戦を展開しているなんて。国民が知ったら激怒するだろう。いくら与党に過半数があっても、国会運営は全会一致が原則だから、ムチャできないんだよナァ。がまん比べ国会だな、こりゃ。
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