馳浩の
   永田町は、ほっかむり・・・

 

平成12年1月12日大阪新聞掲載


 

血と汗のギャラ10万円

 

 ミレニアム、明けましておめでとう。この時期、国会議員の皆さんは選挙区の新年会まわりでお神酒づけになっていたり、互礼会で名刺を配りまくったりしているはずだ。

 日ごろは週末しか地元まわりをできないゆえ、国会閉会中であり、人のぎょうさん集まる1月前半は、まさしく票のかき入れ時。ましてや企業のあいさつまわりをして、政治資金の工面をするのもこの時期。2000年は間違いなく10月までに衆院の総選挙はあるのだから、例年にまして代議士センセイのあいさつにも力が入っている、ハズ。

 俗に「政治家のあいさつが長くなると、選挙が近い!」と言われる。おそらく、聞きたくもないようなセンセイの「お願い」ばかりの中身のない長広舌に、うんざりしている人も多いことであろう。

 さて、こんな大切な季節に、私は選挙区である石川県を遠く離れ、高知・広島・大分・福岡・・・と旅に出ている。ノン気なものだ?

 否、違う。趣味と実益をかねてプロレスの試合に出場しているのである。プロレスラーに専念していたころから「闘う愛の伝道師」などと呼ばれていたのだか、今では「闘う国会議員」。国会閉会中のすき間をぬって、通常国会前後の1月と7・8月に全20〜30試合をこなしているのである。

 二足のわらじなんかはきやがって、不謹慎だ!

 などと地元の心ある(?)有権者からお叱りの声をいただいているが、残念ながらこればっかりはやめられない。何故か?

 第一の理由は、ストレス解消。

 38歳の私は、これでも自民党石川県連会長であり、参院自民党国会対策副委員長であり、経済産業委員会筆頭理事。

 並み居る地元県会議員と比べても私は最年少。強者ぞろいの国会対策メンバーの中でも最年少。むずかしい委員会運営を取りしきる与野党理事メンバーの中でも最年少。

 体育会系の性(さが)として、長幼の序を重んじる習性ゆえ、どこへ行ってもひたすら頭を下げるばかり。そのストレスたるや、腸にポリープができて下血するほどの過酷さ。

 年に数十試合とはいえ、リング上で存分に暴れ回る私は、生き生きとしている。そう、日ごろのウップンを対戦レスラーにぶつけているわけだ。

 もう一つの重要な理由は、政治資金をかせぐこと。企業団体献金廃止論者である私は、当選以来この方、一円たりともいただいていない。しかし、10人いる秘書の人件費や政治活動費として、いるモノはいる。

 どうするか? 答えはひとつ。からだでかせぐしかないのである。

 全日本プロレスに所属する私は、一応トップレスラー。でも、一試合のギャラは、勝っても負けても10万円。たった10万円。されど、血と汗のしみついた大切な10万円。ありがたい10万円。こういう生き方もまた、私の哲学。でも、やっぱり選挙に向けてはまだ心細い・・・。

 

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