馳浩の
   永田町は、ほっかむり・・・

 

平成12年1月5日大阪新聞掲載


 

言いっぱなしの責任回避

 

 99年も押し迫った12月22日。永田町は平成12年度予算編成作業で大忙し。この日は大臣折衝で最終決着するため、各役所の高級官僚、与党の族議員、業界団体の代表者が大蔵省の主計局を相手にねじり鉢巻き。分捕り合戦。

 そんな中、ふってわいた横山ノック大阪府知事辞職の一報。さっそく早朝から対応が始まった。こういった情報の速さはさすが永田町。右から左へとアッという間だ。

 まず、朝8時からの清風会(森派参院議員の親睦会)朝食会。

 『府議会もノック1人の首に鈴をつけられなかったのだからだらしない。何か弱味でも握られてるんじゃないか?』

 『そうは言っても府民に選挙で選ばれた知事だからな。しっぺ返しってことよ』

 それにしても次をどうするかだよな、という声が出たところで谷川秀善(参院・大阪。元大阪副知事)おやじがマイクを握る。

 『情けない結末でおわび申し上げます。でも、とにかく選挙です。二点戦略があります。まず、2月6日の投票日とすること。といいますのも、この日は京都市長選挙の投票日。京都と大阪では距離が近いので、共産党の運動を分断するためにも同日投票日にすべきです。彼らは全国から応援部隊がやって来て街頭の辻我々でスピーカーで街宣やって党勢拡大しますから、集結させないためにも同日が必要。そして、候補者選定についてです。大阪は今まで、連合が間に入って自民、公明、民主、社民が相乗りしてきました。しかし、今回は話し合いがまとまらないうちに告示になりそうです。フライングしてでも、先に候補者を立てる必要があります。次期衆院選にも影響しますから』

 なるほど。同日選はまだしも、候補選びでフライングできるほどのタマがいるのかね? との不安は誰の胸にも・・・。

 そしてお昼には参院自民党執行部会。冒頭の岡の裕幹事長の挨拶で、一同どよめく。

 『大阪府知事選挙は、どんなことがあっても共産党に負けるわけにはいきません。補欠選挙もセットで考えなければいけないでしょう』

 ん? 補欠のセット? 

 ちゅうことは、谷川おやじか西川きよしさん(参院・大阪)を知事選の候補者として想定しているの? 谷川おやじは副知事まで務めたほどだから、資格はあるけど、自民党の色が強すぎて他党は相乗りできないだろう。西川さんは確かに知名度あるし、まじめ一徹でいい人だけど、また吉本か? と非難もされよう。

 午後2時からは自民党本部で森喜朗幹事長まで出席して組織・団体関係幹部会議で情勢分析。私は教育・文化・スポーツ関係団体委員長。他の役員からには、口々に『堺屋太一さん(経済企画庁長官)じゃないと、無理だろう・・・。でも、ノックは無用、の空気の中で、大臣までつとめている人間が果たしてウン! と言うか?』

 みんな、言いっ放し。とどのつまり、責任回避。これも永田町の真実。

 この状況は、年が改まっても変わっていない。さぁ、大阪府民よどうする、俺は一票ないけど応援には行くぞ。

 

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