「クリーニングニュース」 2001年7月号 

学校教育にも
“地域密着型”の実務的な内容を

 国語科教員、レスリングのオリンピック選手、プロレスラーと異色の経歴をもつ馳先生。さまざまなメディアでご自身のスポーツ論や人生論、教育論を展開され、幅広くご活躍されている馳先生に、高校教育における“実務教育”の必要性や地元石川の魅力について伺った。

 

 国会議員としての重責とやりがい

 国会議員になるきっかけとなったのは、地元が同じ石川県の森前総理のことばです。『馳くんのような若い人が国政の場に出れば、県民の政治に対する意識も盛り上がるのではないか』と言われ、6年前の7月に参議院選挙に出馬しました。

 選挙において国民から選ばれた議員によって、国会で法案が審議され、過半数の賛成票を得て法案が成立すると予算が組まれ執行される。こうした段階を経て国政が運営されており、その過程に携わることができて、幸運であると同時に思い責任を感じています。また、多数寄せられる陳情や要望の一つ一つに丁寧に取り組んでいくのも、やりがいのある仕事です。

 最近では学校図書館法の改正に取り組みました。平成15年の4月1日から施行されますが、施行後は、学校図書館に司書教諭を常勤させることが義務づけられます。司書の先生がいれば、相談にものってもらえるし、インターネットを利用して検索などもできるようになる。図書館が子供の居場所としても活用されるでしょう。

 スポーツ振興法(サッカーくじ)についても、修正案の提出者として導入に尽力しました。旧文部省の予算の中でスホーツ振興予算を増やすことは難しいため、ヨーロッパなどでは既にシステム化されていた『小口寄付金』制度を導入してスポーツの振興に取り組んでいくことを考えたのです。

 

 学校教育にも実務的な内容を

 現在考えている具体的な教育政策はたくさんあります。まず小学校の低学年は、1クラス40人から30人以下に減らすべきですね。先生の負担が多すぎます。人数を減らせないなら副担任を設けるなど複数担任体制をとるべきでしょう。高学年は、集団生活を体験する事が大切ですが。

 高校教育については、今までの普通科と実業家に、総合学科というのを設けたらいいと思います。普通科は、大学受験を視野に入れた受験勉強中心の内容になっていますし、実業家は、商業、工業、農業、情報産業など分野別に別かれています。そこで、実務科目、すなわち事務処理や製造分野での仕事など現場で働くことを教える科目を作り、大学のように選択科目にする。高校は大学へ進学するための準備期間だという考え方がある一方で、就職に役立つような実務的な能力を、多くの選択肢から選び、身につけることができる総合学科というものがあってもいいと思うのです。

 たとえば歴史。日本史や世界史だけが『歴史』というわけではない。地域の歴史も『歴史』です。さらに地域の産業を学ぶことも考えられるでしょう。講師として、地域で働く人たちをお招きしたらどうですか。現在、小学5、6年生には総合的な学習の時間がありますから、街のクリーニング屋さんにアイロンの実演をしてもらうことも可能ですよ。なぜクリーニング業に従事することになったのかを話してもらったり、クリーニング業界について学んだり・・・。地域の一員として地域に密着した産業を理解することで、職業に対する興味や意識が出てくるという効果が期待できます。

 わたし自身も小学校で話をする機会があります。『生き方を学ぶ』という授業で、『小さい頃の夢をどのようにして実現したか』という話をする。あるいは、(湖・沼・潟などの)閉鎖性水域について、生活排水が流れこんで水質汚濁が激しいが、浄化するにはどうしたらいいか。国会議員としてはどういう活動を行っているかという話やオリンピックに出場したときの話をします。

 学校の現場を、先生と生徒だけの閉鎖的な社会にするのではなく、外からさまざまな空気を入れたら、子供たちはよい影響を受けるだろうし先生たちも刺激になると思うのです。

 

 エネルギーを内に秘めた土地柄

 地元は、加賀百万石の城下町で有名な石川県です。全国一の外様大名で、表向きは江戸幕府に従い参勤交代で私財を投じながらも、城下町として繁栄した前田藩の流れを受けて、内にエネルギーを秘めた土地柄だといえるでしょう。また、伝統文化が生活に根付いていて、街の人たちが三味線を弾いたり、太鼓をたたいたり、踊りや謡にたけている。今でも市や県では、芸者育成のための振興費を予算としてあげています。金沢市内には昔から続いている芸者さんの置屋街がありますが、ビルの建設などは規制されていて昔からの町並みが保存されています。 

 

 ネットワークを生かしてニーズに合ったサーピスを

 衣料品だけでなく、ソファーやじゅうたんなどのインテリアのクリーニングもしていただけると助かりますね。これからはニーズに合ったきめ細かい対応が大切になるでしょう。

 クリーニング店が(取扱店も含めて)全国に16万軒あるというのは驚異的ですね。郵便局は簡易郵便局を含めても2万9千軒ですよ。わたし自身も選挙の公示前まではクリーニング店を一件一件回りました。この広いネットワークを生かして、地域に密着したサービスを展開されることを期待します。


馳浩 in Mediaメニューへ戻る



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