朝日新聞 平成20年4月8日掲載
子が成人していれば
【親の性別変更OK】
 要件緩和案 与党提出へ

 

 心と体の性が一致しない人が戸籍上の性別を変えられる「性同一性障害特例法」をめぐり、与党は、子どもがいる場合は性別を変更できない 「子なし要件」 を緩和する改正案を参院に提出する方針を決めた。 子どもが成人したのを条件に 「女性の父」 「男性の母」 が認められることになる。

 民主党も同様の検討をしており、与野党間の調整がつけば、今国会中に超党派の議員立法で改正される見通しだ。

 性同一性障害者は、外見と戸籍の性別が異なることから、正社員として就職できなかったり、パスポート申請で問題になったり、様々な不利益が指摘されてきた。 このため、04年7月に施行された特例法により、家裁の審判を経れば戸籍の性別を変えられるようになった。

 しかし、現行法では、子どもがいる場合は、「性別を変えると、混乱する」 などとして、家裁で審判を受けられない。 当事者には、当初から改善を求める声が強かったうえ、付則で施行3年後の見直しが定められていた。 このため与党は、要件を 「現に成人していない子どもがいないこと」 と改正する方針で、子どもの成人を条件に、 「子なし要件」 を緩和する。 子どもの年齢にかかわらず、撤廃を検討している民主党も与党との調整に応じる見通しだ。

 同様の特例法は、多くの欧米諸国で整備されているが、 「子なし要件」 があるのは、日本のみだという。 この問題に詳しい大島俊之・九州国際大教授(民法)は 「子どもはすでに、親の姿が変わるのを見てきている。 戸籍の届け出が変わることで混乱するとは思えない」 と指摘する。

 一方、法務省などは 「法改正されれば『女である父』や『男である母』が初めて出現する。 家庭秩序に混乱が生じる可能性があるのではないか」 などと懸念を示す。


馳浩 in Mediaメニューへ戻る



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