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馳 浩 衆議院議員 永田町通信 138
 

『沖縄子ども振興計画』

 「沖縄は 何でもかんでも 日本一!!」
 みごとに五七五の韻を踏んでいる、この何気ない一言に、すさまじい怒りが込められていることを、私は、最初わからなかった。
 「超党派学童保育公的拡充を求める勉強会」を、スタートさせてしばらくのこと。
 「馳さん、沖縄県の児童福祉専門家が上京して来ます。話しだけでも聞いてください!」
  と、勉強会の民主党メンバー、瑞慶覧長敏(ずけらんちょうびん)代議士から声をかけられたのが事の始まり。
  いいですよ、と、すぐに臨時勉強会を開いた会議の中でとび出したのが、冒頭の一言。

 「失業率も一位、ニート率も一位、非行率も一位、非行再犯率も一位、学力テストも一位(下から数えて)、離婚率も一位、再婚率も一位。そして出生率も一位、これは上から数えてやけど・・・・・・」
 自嘲気味にスラスラ答えるこの統計数字の意味するところが、私はよくわからなかった。
 「おそらく、その背景には、何か社会的に大きな問題があるんですよ、ね!!」
 おそるおそるうかがうと、
 「米軍基地です!!」
 と、広大に県有地を支配する米軍基地問題をいまいましそうに語り始める。

 しかし、事はそれだけで単純に終わらない。
 「今まで、劣悪な子育て支援環境の改善に取り組んでこなかった、沖縄の政治家にも、それを選んだ県民にも責任があります。だから、今回こそ、超党派で、それこそ、国を挙げてのバックアップを求めたいのです。お願いします!!」と来た。
 「今回こそ?!」
 ここがポイントだった。
 それは、第三次沖縄振興計画の作成が目前に迫っていたからなのだ。
 「今まで、ゼネコン対策の沖縄振興計画が続いて来ました。その要求をしてきたのも沖縄県民でした。でも、それで県民生活が向上したわけではありません。次の振興計画の十年は、今までのくり返しになってはいけません。今度こそ、子ども振興計画を作って、実行して、劣悪な環境にいる子どのたちの負の連鎖を断ち切りたいんです。」
 「負の連鎖って?」

 「就学前や、小学校低学年で、片親の子どもの居場所がなく、児童虐待のネグレクトや、非行のたまり場になってしまうんです!!」
 「それで?」
 「中学生になると、喫煙、飲酒、集団暴行、そして不純異性交遊のパターンです。」
 「なるほど!!」
 「高校生になると、不登校、中退、引きこもり、深夜はいかい、妊娠、中絶、若年出産、若年結婚、若年離婚、若年再婚・・・・・・。そういう若い親は、家族の絆もありませんから、結局、子ども時期の居場所がなく、負の連鎖がみごとに完成してしまうのです。」
 「わかった。じゃあ、視察に行こう!!」
 「え、来るんですか?」
 「あったりまえ。行かなきゃわからないし、行かなきゃ動かない。超党派で動けば、マスコミも騒いでくれるでしょ!!沖縄子ども振興計画、政府に認めさせようじゃないの!!」
 と、いうことで、行って来ました。

 こういうことは、急ぐに限る。
 視察先は、沖縄の学童保育連絡協議会や、里親会や、保護司会や、児童養護施設協会などにお任せし、二泊三日で行って来た。
 ・どうして子どもの居場所がないのか?
 ・どうして非行に走り、再犯率が高いのか?
 ・どうして出生率が高いのか?
 ・どうして、ニート、フリーターになるのか?
 ・どうして離婚するのか?
 ・どうして若年結婚、再婚くり返すのか?
 マイナスイメージも強く持ったが、実は、プラスのイメージも印象に残った。

 「町の青年会が、町内の子どもの面倒みてます。」
 「小学校ではスポーツクラブが盛んで、野球やバスケやハンドボールやゴルフやレスリングが全国でも強豪です!!」
 「安室奈美恵ちゃんとか、ダンスや歌の芸能で活躍する人もたくさんいます!!」
 ・・・・・・つまり、地域の活動やクラブチームに参加できる、参加させられる子どもと、そうでない子どもとの、二極分化されているということがよくわかった。
 だからこそ、米軍基地対策とは別に、もうひとつの柱が沖縄県には絶対必要だということがよくわかった。
 それは、
 「沖縄県を、全国でも有数の子育て先進県にする、モデル県にすること。ワーストとも言われる、児童福祉環境の改善なくして沖縄県の未来はない。沖縄県の子どもたちの未来なくして、日本の未来はない!!」ということだ。
 ぜひ、「沖縄子ども振興計画」に、一人でも多くの国民のご理解とご賛同をたまわりたい。


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