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馳 浩 衆議院議員 永田町通信 124
 

『仙谷さま、何様?』

 「ハイハイハイ!」
 「こっちこっち!」
 ……実に見苦しい。
 予算委員会での仙谷官房長官の答弁姿だ。
 質問者が仙谷さんを指名しているわけではない。 とにかく俺に答弁させろと我欲丸出し。
 菅首相がおそるおそる挙手していても、
 「ハイハイハイ!」
 いさい構わず嬉々として答弁を求める。
 これじゃどちらが総理かわからない。

 官邸には二人の総理大臣がおり、本当に実務を仕切っているのは影の仙谷総理。 菅さんは張り子の虎、とマスコミにまで揶揄される始末。
 それは衆参の予算委員会での答弁ぶり、答弁内容を拝見していれば一目瞭然なのだ。
 例えば。
 中国漁船が海保の巡視船に衝突(体当たり)した事件。
 前原前国交大臣は、ビデオを見た上で、として、
 「明らかに悪質な事案。 逮捕し、法と証拠に基づいて処理されるべき!」
 と答弁した。
 世論も「ビデオを公開しろ」と盛り上がった。
 衆議院でも、予算委員会では全会一致の決議で提出すべきとなった。(もちろん提出されたビデオを国民に公開すべきかどうかはまた別の判断であるが。)
 ところが。
 前原大臣のおっしゃるように法と証拠に従って処理されるもの(逮捕→起訴→判決→釈放?)だと信じ、期待をしたら、さにあらず。
 那覇地検の記者会見で「処分保留、釈放」となった。
 それも「国民生活への影響を考慮し、日中関係への配慮」との異例の理由を述べて。

 この経過を予算委員会で追及された仙谷さんは、「政治介入していない」「検察判断」と逃げの答弁に終始。
 検察に責任転嫁。
 ひきょう。
 あくまでも政治判断していないとシラを切り通した。
 その上で、ビデオを提出するかどうかについて「諸般の事情に配慮し、提出の時期も含めて判断する。
 テレビ報道は国民に影響が大きい。」と煙に巻いた。
 こういう態度を、煮ても焼いても食えない、と言うのではなかろうか?
 さらに公務員制度改革について。 民主党はマニフェストで約束した「天下り根絶方針」 「公務員人件費二割削減」の方針を守っていないではないか、むしろ自公政権時より後退しているではないか?!と、指摘された時もそう。
 政府参考人として経済産業省の古賀茂明氏が答弁したときはひどかった。(古賀さんとは、仙谷さんが国家戦略担当大臣のときに、内閣府で公務員制度改革を担当した改革派官僚。 しかし、せっかく取りまとめた改革案がその後骨抜きにされたとして、実名で雑誌に告発しいた気骨のある官僚)。

 「彼の将来のキャリアに傷が付くのではないか……」
 と、脅しまがいの答弁を平然と行ったのである。
 いったい何様のつもり?
 まだある。
 尖閣諸島での中国外交が弱腰だとか腰砕けだとか批判された時、「柳腰というのもある。」と切り返した。
 一瞬キツネにつままれたような気がした。 仙谷さんは、しなやかでしたたかな強い腰の入れ方だ、と強弁した。
 おいおい、言葉は正しく使おうよ。
 「柳腰」とは、すらりとしたしなやかな細い腰つき、美人の俗称、である。
 中国人がこの言葉を聞いたらどう思うか!?
 「やっぱり日本人は中国にしなを作って阿る国民だ!!」と受け取られかねない。
 仙谷さんは国会論戦の場を法廷と勘違いしているのではないか?
 強弁し、言いわけし、取りつくろい、時には脅し、すかし、言葉を造語してまで、その場をすり抜ける。
 いつもその場限りの無責任答弁。
 テレビを見ていても、予算委員会の現場においても、仙谷さんの包容力や誠実さは残念ながら伝わらないのである。

 相手を言い負かすのならば、法廷でやってほしい、まともに相手の話しを聞かずに売り言葉に買い言葉の品のない議論をするのならば、それは野党時代のパフォーマンスそのままと言わざるを得ない。 造語に近い言葉遊びをするのならば、正しく意味が伝わるようにし、二度と「柳腰外交」などと恥ずかしい例えをしないでもらいたい。
 事ほど左様に、仙谷官房長官は国益を担う責任を真摯に果たしているとは思えないのである。
 仙谷さん本人お気付きのように、テレビ映像は怖い。
 見下すような目つき。
 恫喝するような発言。
 わざと答弁をひきのばし、核心から遠ざかるような演出。
 菅総理を守りたいのか、それとも自己顕示欲が異常に強いのか。
 いずれとしても、政権中枢である官房長官として、これほどふさわしくない人はいない。
 仙谷さま、何様?


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