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永田町通信 106
 

『かけひき』

 永田町には、あらゆるかけひきが充満している。
 委員会や本会議の日程をめぐるかけひき。
 法案の修正をめぐるかけひき。
 そして、解散をめぐるかけひき。
 自民党内には、人事をめぐるかけひきも。
 いずれにしても、一連のかけひきが、「国家国民のため」ならば得心もいくし、理解されよう。
 しかし、党利党略私利私欲がむき出しになると、それは誰のためにもならない。
 だからこそ、落とし所を常にポケットの中に入れて、交渉しなければならない。
 そして、交渉し合える信頼関係を結んでおかねばならない。

 さて、私が所属する文部科学委員会。
 与党の筆頭理事は、不肖はせ浩。
 野党の筆頭理事は、民主党の小宮山洋子さん。(この方にせんせいと呼ぶと、罰金100円取られることになっているので、さん付け)
 委員会運営は、与野党筆頭理事の下交渉があってはじめて成立する。
 その下交渉の順番を解説すると、

 1.定例日の確認(文科委は、水よう日と金よう日が定例日。 火よう日は予備日)
 2.案件の確認(どんな内容の審議事項とするかの確定。 法律か予算か視察か……等)
 3.委員長の意向確認(運営の最終責任は岩屋毅委員長にあるので全て報告)
 4.文部科学省の思惑確認(ここで活躍するのが文科省の国会連絡室長、児玉さん)
 5.与党、野党それぞれの国会対策委員会の指示、指導を確認(勝手には決められない。)
 6.与党理事懇談会、野党理事懇談会を開いて、筆頭間の交渉事を報告し、了とする。……ふぅ。

 書いていてすら、目まいがしそうなくらい、気の遠くなるような段取りがあることがわかっていただけるだろう。
 それに、この1〜6までの作業は順調に交渉が進んでいるときの最低限の手続きであって、もちろんしょっちゅうパイプは目詰まりする。
 「それは困るわ。 あたしその日はスケジュールが詰まっているから!」
 と、言われたら、前後の日程を準備する。
 「あたしは良いけど、国対の上司からダメだって言われるのよー!」
 と、言われたら、私の上司である下村博文さん(国会対策副委員長。 文科委担当)を通じて、民主党国対を説得してもらう。
 「参議院側からストップがかかるのよー」
 と、言われることもある。
 ねじれ国会ゆえに、国会運営の主導権を参議院民主党に握られてしまうこともしばしば。
 こういう時は、いた仕方ない。 私みずからが参議院自民党の国対に顔を出し、事情を説明し、なんとか円滑にものごとが進むようにと頭を下げてお願いする。

 私は過去5年間、参議院議員として在籍していたことがあり、それなりに与野党に人脈はある。 参議院自民党幹事長の谷川秀善さんも、国対委員長の鈴木政二さんも、当選同期の仲間。 したがってたいていのことは融通が利く。 同期の桜とはありがたいものだ。
 こんなチエの輪をていねいに解きながら委員会運営のキーマンを演ずる私をサポートしてくださるのは、他称(自称)「おネェさま」(ひそかに女王サマと呼ばれていたりする。 本人も否定はしない…)こと、公明党の池坊保子代議士。

 「馳サン、あなた人が良いんだから、野党の言うこと何んでもハイハイって聞かなくてイイのよ。 理屈に合わないことはガツンと言っておやんなさい!」
 「ははぁ……なかなか面と向かって言い辛くって。 小宮山さんと口ゲンカしても負けちゃうし……」
 「何言ってんのよ、だらしない。 そういう言い辛い話はアタシに言いなさい。 パシーッと理事会で言ってあげるから!!」
 と、明らかに野党のわがままや、審議引き伸ばし作戦を見抜いて、言うべきことを私のかわりに主張して下さる力強い味方。
 かくして、衆議院文部科学委員会の現場は、定例日を有効に使いながら、審議日程を消化している。
 今国会ですでに成立のメドが立った法案は以下4本。

 ○ 独立行政法人整理統合法案(修正)
 ○ 原子力損害賠償法
 ○ 特定大型研究施設活用法(J-PARK法)
 ○ 著作権法改正案

 この他にも、補正予算関連の
 ○ 科学技術振興基金設置法 や、議員立法の
 ○ PTA、青少年教育団体共済法。
 の処理も視野に入っている。
 ねじれ国会だけれど、前向きなかけ引きをしながら、着実に成果を上げることが、国民の期待する国会の姿。
 理屈に合わないつっぱり合いは、ためにならない。

馳 浩 衆議院議員 


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