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永田町通信 98
 

『自共党首討論?』

 お盆の8月15日、帰省中のふるさとで、ふれあいトークショーを行った。
 対談の相手は笠井亮代議士、共産党だ。
 「え? 共産党といっしょに国政報告会するの。 だいじょうぶ?」
 何を心配してだいじょうぶ?と、聞くのかはわからないが、私がこの企画を提案した当初は後援会の誰もが半信半疑だった。
 でも、政治をわかりやすく有権者に伝えるためにも、こうした刺激が必要だと常々考えていた私は本気も本気。

 「誰もがエッ?!と、びっくりするような仕掛けをしないと、つまらないじゃん。 自民党と共産党の代議士が、たまたま80戸足らずの小さな村にご縁をいただいたんだから、これを利用しない手はないでしょ。 俺も笠井さんも、政策以外では人間として仲良くつきあっているんだから、うまくやりますよ!!」
 と説得し、本当に実現したのだ。

 

 場所は、富山県小矢部市興法寺村の南部公民館。 私の実家のある村であり、笠井さんの奥様の実家もある。 参議院に初当選した平成七年も同じであり、衆議院にくら替えしたのも二人の共通点。 毎年お墓参りのためにお盆には里帰りしていたのだが、二人そろって国政報告会を開くのは今回が初めて。
 「いったいどんなトークショーになるの?」
 と、興味津々の村人や、地元富山新聞記者や赤旗の記者がペンを握りつつ100人以上も集まった。 大盛況。 開会前から異様な緊張感が公民館の大広間に漂った。

 そりゃそうだ。 壁には馳浩と共産党のポスターが並んで貼ってあるし、配布された資料は、はせ通信と赤旗。 水と油。 共産党も党員を動員しているし、もちろん私の幼なじみもいっぱい。 何が起こるのかと期待が最高潮になったところで、呑気な私の質問が口火を切る。

 「笠井さん、奥さんとどこで知りあったの?」
 「エェェェェ……」
 と、言葉に詰まる笠井さん。 予算委員会では鋭い弁舌で福田総理をやり込めている論客であるが、恋愛話は苦手なようだ。 最前列に座っている奥様の顔色をうかがいながら、白状しはじめた。 先制パンチ効きすぎたかな?

 「学生時代の活動で知り合ったんですよ。 プロポーズしようと東京から高岡まで電車でやって来て城端線に乗って福野駅まで来たんだけど、義父さんに会わないって言われて、その日は引き帰したんだよねェ。 とぼとぼと。」
 「そのオヤジさんが、アカは嫌いだ。って、おっしゃってね。 大変だったんですよ……」
 「私のオヤジもね、学生時代にアカにだけはなるな!って、そりゃもう勘当モンでした。」
 正直に語り続ける笠井さんのお人柄に、警戒?していた村人たちも、自然と魅き込まれていく。

 

 続いて笠井さんが、攻撃を仕掛けてくる。
 「はせ通信には、社会保障費2,200億円の削減は限度と書いてある。 賛成です。 共産党は大企業優遇税制に反対し、軍事費削減し、思いやり予算に反対することで十分その財源は生み出せると主張しています。 はせさんはどうやって財源確保しますか? 消費税増税は逆進性があるから反対です!!」

 「将来的には消費税増税が筋です。 しかし、最近の景気後退局面でそれはできません。 2,3年は、特別会計積立金の繰越利益(埋蔵金)を活用すべきです。 その前提として、天下り原則禁止、随意契約禁止、公務員人件費削減、国会議員定数削減が必要です。 企業税制は国際競争力強化の観点で見直すべきですし、自衛隊装備費の見直しは必要ですが、安全保障の観点から、防衛費の重要性を理解するべきです!!」
 と、こちらもゆずれない線を主張。

 

 「それは笠井さんと私では考え方が違いますから!」
 「日本の国益は、外交と安全保障のバランスで守られています。 一国平和主義ではなり立ちません。」
 と、ハッキリ申し上げたりして、次第に熱を帯びてくる。

 笠井さんも負けてはおらず、
 「自民党が改革断行できなければ、次の総選挙で政権の座を下りるしかないですね!!」
 と、ゆずらない。

 2時間を超えるクロストーク。 最後には、秋の臨時国会の政策課題をお互いに確認したり、選挙で勝ち抜いて、また来年もここでいっしょに国政報告会をやりましょうねと誓い合って力強く握手した。

 

 集まって下さった村の皆さんは興奮気味で、こう感想をもらしてくれた。
 「お互いの主張がよくわかった。」
 「政策が立体的に理解できた。」
 「わかりやすかった。」
 「楽しかった。 次は、農業問題でやってくれ。」
 「TVの予算委員会より面白い。」
 なるほど、主張がかみ合わないからこそ、聞いている人にはわかりやすかったようだ。

 政治をわかりやすく、そして政治に共感を!!
 そして、国益を追求する政治でありたい。 そのためには、タブーをも利用してみたいのである。 


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