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永田町通信 90
 

『再延長のウラ舞台』

 12月13日、夕方。
 延長した臨時国会は12月15日が会期末だった。
 しかし13日は、再延長を議題として与野党幹事長会談がセットされた。案件は3つ。

1. 1月15日まで再延長すること
2. 社会保障国民会議の設置
3. 政治資金規正法改正案の了解

 いずれも国会運営や政局を動かすキーポイントとなる重要事項。 この大切な会議には各党国対委員長も陪席するはずだったのに、民主党の山岡賢次さんだけが欠席した。その真意は推しはかるすべもないが、「なんだ、鳩山さんと山岡さん、仲良くないのかな?」と国会雀がいぶかしがった。

 国政に関する重要事項を最終判断するのが党首会談。 国会運営については国対委員長会談――。 だいたい、与野党がつっぱり合っている時の局面打開に使われる舞台設定だ。 そういう意味において言えば、党首会談と国対委員長会談の中間に位置するのが幹事長会談であり、意志決定機関としては極めて重い意味を持つ。 自民党も公明党も共産党も社民党も国民新党も、いずれの政党もこの幹事長会談の立会人として国対委員長を陪席させてきたのに、なぜか民主党の山岡さんだけが欠席とはこれいかに。

 もちろん、幹事長会談を開くようにお願いするのは与党側であり、「国対委員長も陪席してくださいね」との要請であり、強制ではない。 だから、山岡さんが陪席しなかったとて、別におかしい話しではなかろう。 でも、共産党も社民党も国民新党も国対委員長は陪席しているのに、どうして民主党だけはいないのか? 仲良くないのか? 深い意味があるのか? 何なんだ?

 翌日のどのマスコミもこの件は取り上げていないからたいしたニュースとは受け取められていない。 でも、長年国会活動をしている私としては、何かキナ臭いにおいを感じないではいられないのだ。

 その私の動物的なカンを裏付けるような出来事が数日前にあった。
 テロ対策新法の参議院外交防衛委員会における採決をめぐるやり取りだ。 委員長である民主党の北沢俊美さんはテレビ取材に対してこう明言していた。 「年末年始は与野党ともにいろいろ地元の行事があるだろうから、私としては年内に決着を!」と。
 また、民主党の鳩山由紀夫幹事長も、「審議時間が衆議院並みの40時間を超えれば、粛々と採決するつもりだ。 いたずらに引き延ばすつもりはない!!」と。

 ところがそのニュースが流れた翌日。
 中国に訪問中だった山岡さんは、北沢さんや鳩山さんの年内採決容認発言を翻した。
 「審議時間を満たしたからハイ採決しますとはならない。 防衛省をめぐる疑惑解明は国民も望んでおり重大問題だ。 証人喚問や参考人招致や調査要求も政府与党に出している。 ボールは投げてあるのだから、採決に応じることができるかどうかは与党しだいだ!!」 と、徹底抗戦の発言。

 こりゃ一体何なのだ? 民主党の司令塔、コントロールタワーはどこにあるのか? と、問いかけたい気持ちになる。
 現場の北沢委員長も、党の鳩山幹事長すらも年内採決を容認しているのに、国会運営の責任者である山岡さんがブレーキ役とは?

 じゃあ、最高責任者である小沢一郎代表の本音はどこにあるのだろうか?
 もしかして、大連立構想をにべもなく否定された役員会に対して、いまだに腹にイチモツかかえたままなのだろうか?

 いったい誰が最終決定権を持ち、誰が民主党の意思を代表して発言し、誰が国会をハンドリングしているのかが全く読めないのである。 だから、幹事長会談に山岡さんがあえて欠席してしまった事実を見て、さもありなん、と、関係者は口にこそ出さないものの、ハハァン、とかんぐってみせたのである。

 これは不協和音なのか、それとも陽動作戦なのか?
 名うての論客である伊吹幹事長ですら、いいようにふりまわされ(ているフリ?)

 「民主党は小沢さんの独裁国家かと思っていたが、党首会談決裂以来、無政府状態なのかなぁ……」とひとりごと。 かくして、与野党の思惑が絡み合いながら、再延長となってしまった次第。
 民主主義とは時間のかかることよ。
 それもこれも選挙結果ゆえ。
 ならば、国会不信を国民に突きつけられる前に、何とか前進させなければならないのだが……


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