『コーディネーター役!?』 国会閉会中地元回りをしていて、ふと思う。
国会議員の閉会中の役割りとは何なのか。
御用聞き?
メッセンッジャー?
道先案内人?
草むしり?
サンドバック?
コーディネーター?
このいずれもの役割りが求められているのかな、と感じる場面に出くわすことが多い。
ある地元パーティーの宴席にて。
選挙区である金沢市の山出保市長からひとつの提言をいただいた。乾杯の直後のことであり、お互い知人とのごあいさつであわただしい中ではあったが、姿を見つけた市長から「馳さん、ちょっとちょっと」と手招きをいただいて、テーブル脇で立ち話を始めた。
「わたしゃね、三つの法律を一本化にしたらどうかと思うんですよ。いずれも議員提案の法律でしょうから、馳さんも尽力して下さい。対応する窓口は市町村の役所でも一元化した方が良いと思うんですよね。」
何の話かと言えば、虐待問題のこと。
DV(配偶者暴力)対策法、そして児童虐待防止法は、議員提案で成立し、少しずつ対策の効果を上げてきている。加えて高齢者虐待防止対策についても、いよいよ法制化に向けて動き出した。金沢市は平成15年度に高齢者虐待についてモデル的実態調査を行い、その報告に基づいて連絡協議会を設置し、対策は動き出した。だからこそ、山出市長は主張せずにはおれないのだと言う。
「いずれも虐待というカテゴリーに入れてしまえば、家庭内の福祉対策となります。だとすれば、市町村で窓口を一本化した方がよりきめ細かで迅速な対応ができます。そうできるように法律を一本化してもらった方が現場の対応はやりやすいんですよ。」
「なるほど、そういうことですか。ならば、高齢者虐待防止の法案化に向けての議論に入った時に提案してみます。」
「お願いします。馳さんな若いけんさけ、その情熱でがんばってたいま。」
最後は金沢弁丸出しで激励して下さった。全国市長会会長でもある山出市長の提案は、確かに的を射たアドバイスでもある。
市長から直々にまとめ役を求められる時もあれば、あいさつまわりに市内を歩いていて声をかけられることもある。
「あんた、馳さんやろ! ちょっと聞きまっしゃ、兼六園を世界遺産に提案するがやったら、まずは管理一元化やぞいね!」 と声を掛けて下さったのは、兼六園入り口料金所で数十年も働いてきたというおばちゃん。「世界遺産にふさわしい管理にしてちょうだい。最近は観光客にキレイな庭園をお観せするためにか、葉っぱ一枚残さずに掃除してますよ。昔は緑がこんもりとした中心市街地の豊かなオアシスだったのに、最近は機械的な管理の観光地になって寒々としてます。もう一度、緑豊かな池泉回遊式庭園として、品格のある姿に取り戻してください。」 とすがるように訴えられた。
またある会合では、
「あんたは国会議員なんだから、地元の陳情処理に窮々としないで、外交、国防、教育などの国家的見地から発言しなさい。」 と激励されたその隣のテーブルで、「うちの息子の就職面倒見てもらえない?」 などと真顔で訴えられ「は、はい・・・」 と静かにうなずいて履歴書を預かることも一度や二度ではない。
閉会中、とりわけ年末年始は出来る限り地元を歩きまわり、呼んでいただける会合には全て出席した。そこで接したのは現場の声。
地域経済の沈滞や、失業や、保育や、年金問題や、老後の不安など、激しく叱責を受けることもあれば、期待もいただいた。総じての印象は、社会が二極化しつつあるな、ということ。
競争を生き抜く体力のある側と、敗者となってもがいていたり、元々事情があって競争には参加できない社会的な弱者。
そこで、求められる国会議員の役割りとは何なのか、という論に帰結する。
・競争を支える財政、税制、制度改革。
・敗者復活、弱者救済の制度作り。
・国内外の平和維持。
・あるべき国家像、目標達成年度の提示。
以上4点の役割りを遂行するために、閉会中は何をしなければならないのか、ということだ。
何よりも、国会と合所をつなぐコーディネーター役が求められているのだろうな、と金沢市の近江町市場を歩いていて痛感した。財布の1円玉を数えて支払いしているおばあちゃんのしわしわの手が、そう雄弁に語っていた。