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永田町通信 21
 

『=品性下劣=』

 マキコ更迭、ムネオ疑惑、加藤紘一秘書口利き疑惑ときて、国政はいよいよワイドショー化してきた。

 お茶の間の話題の中心に政治があることは歓迎すべき。しかし、その中味が問題。

 国民の政治に対する期待は、景気回復。小泉政権でいつ頃日本経済は持ち直すのか。構造改革はどんな痛みがともなうのか。一体いつまでガマンすれば良いのか、に明快に答えるのが国会論戦の場、であるはずなのに・・・・・・。

 与野党スキャンダル合戦が話題の中心となっており、心ある国民は「政治は本当に動いているのか?!」と泣き声を寄せている。

平成14年度予算案が成立する3月下旬になって、今度は社民党のエース、辻元清美さんの疑惑が出てきた。彼女は疑惑追及の急先鋒であるが故に、「与党から刺されたのか?」とのうがった見方もされた。しかし、よーく調査が進んでみると、そんな次元の話しではなく、彼女の「実態」が浮きぼりにされた。

 勤務実体のない政策秘書の給与を詐取していたのではないか、との週刊新潮の記事が発端だった。彼女はすぐさま釈明会見。「政策秘書として役 割を果たしてもたっていた。給与は全額彼女(秘書)の口座に振り込まれ、彼女が管理していた。記事は事実無根」と全面否定。

 しかし。数日後に前言をひるがえす。「訂正します。当時は3人分の公設秘書の給料で4−7人の秘書を雇っていた。一種のワークシェアリング。政策秘書の銀行口座は事務所で管理していた。本人には5万円しか支払えなかった。しかし名義貸しではなく、度々電話で相談に乗ってもらったりしており、5万円以上の仕事をこなしていただいた。公設秘書給料から一定分を寄付の形で集めたが、金額が政治資金規正法の上限を超える。それに、寄付行為の処置が取られていなかった。修正措置を取り、反省し、おわびする。しかし、与党の議員も同様なことをやっている。(以下具体的人名列挙)秘書制度は問題が多すぎる。見通しの良いシステムに変えるべきだ。議員辞職はしない。告発されたら徹底的にたたかう。詐欺行為ではない。」・・・・・・。

私は開いた口がふさがらない。公設秘書の給与は国費で秘書本人に支払われるべきもの。一括プールして多数の私設秘書の分までまかなうシステムではない。よしんば、公設秘書が自ら進んで「寄付」をするというのであれば、公明正大に寄付行為として届出をすれば良い。事実が発覚してから口裏を合わせるようにワークシェアリングだったなどと強弁するのは、言い逃れである。これでは、国費を山分けして勝手に人件費として流用していたのではないかと指摘されてもグウの音も出ない。

 鈴木宗男さんの「政治とカネ」疑惑を先頭に立って、糾弾してきた野党の論客としては、軽率きわまりない。また、政策担当秘書は兼業が禁止されていないとは言え、その職責から考えて「電話で相談する」程度のアルバイト的な仕事ではない。

 議員の政策企画立案を補佐し、立法活動を支える目的から逸脱する。勤務実体のない政策担当秘書などあり得ない。それを、5万円以上の仕事をしていただいたとは、何たる言いぐさ。また、ワークシェアリングとは笑止千万。本来、自身の給与の一部を出しながら別の人を雇用することに合意すること。ワークシェアリングの意味を曲解しているしか言えない。

 さらに、修正措置をすれば問題ないでショと言わんばかりの姿勢も、いかがなもんか。私が最も「品性下劣」と感じたのは、「他の党でも、他の議員でもやっている!」と実名をあげたこと。他の人が悪いことをやっているというのなら、正式な書面を提出して告発すれば良いのではないか!! 事実関係も正確に調べず、情報だけで個人名を公表することは、立法にたずさわる国会議員足る者が一番やってはならないことである。それも、自分の行為についての釈明文書の中で、他人をあげつらってこれ見よがしに批難する手法は、人としてのモラルを疑わざるを得ない。

 そして、それを以って「秘書制度の欠点を指摘し、システムを変えるべき」と正義感ぶるに到っては、もう、怒りを通りこして悲しみを覚えてしまう。鈴木宗男さんに辞職を迫っていた辻元さんに申しあげたい。「出処進退は、自らが、いさぎよく、決断するべきものです」と。


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