『日米同盟に中韓朝の横ヤリ!?』 アメリカのブッシュ政権の人事を検証して行くと、日米同盟強化ラインであることが明確に読み取れる。
ホワイトハウスのピーターソンアジア担当部長や、パウエル国務相、アーミテージ次官補、ケリーアジア担当。またラムズフェルド国防相など今までで最強の親日派ぞろい。当然、日本側に対する経済運営や安保条約に基ずく協力要請も強まるであろうが、それはとりも直さず東アジア地域における日本の発言力を確保することにもつながる。
従って、日本政府の今春の対外政策の進め方としては、一に日米首脳会談、二に原潜と実習船衝突事故の処理、三に日ロ首脳会談であることは論を待たない。
しかし、外交の基軸である日米同盟に横ヤリを入れて来そうなのが、中国、韓国、朝日新聞である。中国政府は2月22日に教科書問題で公式要請を行なった。日本の中学歴史教科書の検定をめぐって、日本政府に対応を求める姿勢を表明した。
中国外務省の朱邦造報道局長が、「日本側が直ちに有効な措置を取り、いかなる侵略を美化した歴史教科書の登場も阻止し、中日関係の大局を切実に守るように求める」と事実上の教科書検定への政治介入を求める定例会見を行なった。また、韓国の有力紙、東亜日報も、2月20日付一面で野呂田芳成衆院予算委員長の「大東亜戦争」発言と合わせて「わい曲教科書採択確実」と報じた。
そしてごていねいにもわが国の朝日新聞は、2月21日付の一面で、『中韓懸念の「つくる会」教科書、政府「政治介入せず、個別の記述修正すれば合格の可能性」』と大々的に報じた。
一連の報道は、教科書検定制度にも深く関わる問題なので、日米関係への外交的横ヤリとは別問題としても解説せねばなるまい。国定教科書制度の中国とは違い、日本では教科書を執筆し、発行することは自由である。ただし、明らかな事実の誤りをただしたり、バランスを失した表現を修正するために検定制度がある。
その検定制度に政府や政治家が影響力を行使するなんてことは当然ながら許されない。ましてや外国政府の圧力によって日本のこども達が使用する日本の歴史教科書が書き換えられたり検定不合格になってしまうということは、内政干渉以外の何者でもない。
私も昨年衆院の文教委員会の質問において、「検定制度に特定個人の示威的影響力の行使があってはならない」と強く指摘したところでもある。中国や韓国が、日本の教科書検定制度に無知であるはずがない。「わかっていて」、検定中のこの時期に外交的圧力をかけて来ていると見るべきである。
その真意は何か?
日本叩きである。
日米同盟関係が強化されようとしていることに対する不安の裏返しであることは、間違いない。プッシュ大統領も、日米関係の良好性を太い柱として、そして米中関係や米韓関係を進めようとしている。
それがアメリカの国益にかなうし、日本に同盟強化の応分のコスト負担(通商や軍事面において)をさせた方が、アメリカの負担も少なくなると踏んでいる。しかし、日本主導型のアジア政策に反感を抱く中国や韓国は、事あることに歴史認識問題を持ち出して日本の頭を叩いて萎縮させておく必要があるのである。中韓としては、常に日本を叩いておき、アメリカとの交渉を自国有利に導こうという考えがあるのだ。
さて、ここで日本政府の出方が問われる。
(1)明確に日米同盟の重要性を宣言すること
(2)3月7日の米韓首脳会談(ブッシュ−金大中)より一日も早く日米首脳会談を開催。
(3)原潜事故の原因究明、米国側の謝罪受け入れ、えひめ丸の船体引き揚げ、被害者への補償問題の四段階に分けて早く処理すること
(4)PKO積極参加論の展開
これらの外交展開を速やかに政治主導でなすべきなのだ。惜しむらくは、そういう日本としての国家戦略に水を差す、朝日新聞の報道姿勢である。
朝日新聞の教科書検定制度に関する報道は、日本政府が政治介入しないことを批判的に報じているし、中韓の反発を期待し中韓をバックアップするがごとき論評である。
一体国益についてどう考えているのだろう??