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永田町通信 4
 

『学校が壊される!?』

 国会議員の朝は新聞チェックからはじまる。

 その時々の政局、経済状況、株価、国際関係など、常にフレッシュで正確な情報を仕入れて国会審議に役立てなければならないからだ。私は読売、朝日、毎日、日経、産経、北國、北陸中日、日刊スポーツと、計8紙を1時間ほどかけてネタ探しのために読みふける。

 どうしても時間がない時は、政策担当秘書にお願いして記事を20〜30枚コピーしてもらい、移動中か会議中に目を通したりしている。

 こんなことを5年間も続けているので、少々視力は落ちてきたが、逆に、記事を読んで理解する能力は格段に?上達したように思う。

 さて、10月15日の朝刊チェックをいつものようにしていて、経済新聞の1面に目が止まった。見出しには大きく『札幌市教組、国旗・国歌実施「職務命令」に反発、指導主事の入校妨害、撤回求め組織的に拒否戦術』とある。

 私は見出しを見ただけで、記事内容のあらすじが読めてきて、怒りが込み上げてきた。

 参議院議員時代から終始一貫して公教育の充実を目指して政治活動の中心に教育問題を据えて来た。私自身、元教員でもある。現在でも大学で教壇に立っている。衆議院議員にくら替えしてからも文教委員会の一員として取り組んでいる。見出しを見ただけで何が問題なのかはわかる。

 まず、国旗・国歌法が国会で昨年成立した背景を考える必要がある。

 小、中学校の入学式、卒業式で国旗掲揚、国歌斉唱の実施に反対してきた日教組の言い分が『だって法律に定められてないじゃないか』だった。

 日の丸が日本の国旗であり、君が代が国歌であることに異論を挟む余地がないほど、国民の間には定着しており、それ故に慣習法という形でこれまで認められていることに大多数の国民は納得している。

 それを、こともあろうに教育現場をあずかる一方の雄である日教組が『法律でないから』とロクに子どもたちに指導もせず、学校行事においてもないがしろにし、あろうことか反対闘争を行ってきたことを一体どれだけの国民が知っているだろうか。

 卒業式に日の丸を掲揚し、国歌を斉唱することを実施するかしないか、組合とのあつれきがあって広島県立世羅高校の校長が自殺したのは記憶に新しい。

 ならばと、慣習法で良かったものをあえて法律として制定したのが昨年のこと。

 学習指導要領にも明確に『指導するものとする』と書かれている。義務教育の段階で国旗・国歌についての指導がなされ、入学式や卒業式においても実施され、子どもたちに国家意識の発露を促し、同時に他国の国旗・国歌に対しても敬意を払う態度を身につけさせることは、あたりまえのことである。

 にもかかわらず、札幌市教組は組織的に国旗・国歌の指導、実施について反対しているということなのだ。

 一体、学習指導要領を何と心得ているのか。ましてや、この反対運動に対して札幌市教委はどんな姿勢で取り組んでいるのか!

 そんな怒りを原動力に、私は事実関係を調査するとともに、文部省の担当局長や札幌市教委の担当者に直接会って事情を聴取した。

 その結果、驚くべき事実が2点、明らかになった。

 1つには、教職員組合側は
(1)学習指導要領には法的拘束力はなく、教育課程編成上の一資料にすぎない
(2)教育課程の編成権は校長ではなく全教職員にある

 と主張していることである。これは明らかに『永山中学校事件』の最高裁判決(昭和51年)に反する。学習指導要領には法的拘束力はあるのである。こんな組合側の勝手な法解釈で、学校運営や管理のあり方がゆがめられているとは。

 また、2つめの事実はさらに問題だ。

 北海道教育委員会が北海道教職員組合との間で、昭和46年に『学校管理規則等の改正については組合との交渉で行う』とした協定書(46協定)が存在し、今でも有効で、これが学校運営の妨げになっていることだ。これは明らかに地方公務員法に違反している。そもそも管理運営事項は交渉の対象にはならないのだから。

 一体ナンなんだ、北海道。学校が壊されているではないか!!

 怒りに震えた。私は、冷静になり、事実関係の調査を深め、国会で取り上げることを決意した。

(次号に続く) 


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