アドレイベントレポート 99年4月号 

若手政治家にコレを聞きたい!!

 若手政治家4人とアドレ読者の交流会が開催された。普段はなかなか接点を持てない政治家と交流することで、日本のこれからを感じてもらいたいと企画されたこのイベント。40人近い学生が集まり、熱気あふれるものとなった。


出席議員

社民党:辻元 清美氏(つじもときよみ)

民主党:田中  甲氏(たなかこう)

自民党:馳   浩氏(はせひろし)

自民党:河野 太郎氏(こうのたろう)


「若い世代の人々に、政治をもっと身近に感じて欲しい」
 場所は、東京・永田町にある参議院議員会館。当日は寒空にもかかわらず、「政治家の方々の生の声がか聞きたい!」と、たくさんの学生が集合。小さな会場はあっという間にいっぱいになり、熱気むんむん状態に。

 そこへ、出席議員のみなさんがが続続と登場。プロレスラーと政治家の二足のわらじを履く自民党の馳浩氏は、会場内に駆け足で入場してきた。「プロレスの時のリング入場みたいだ・・・・」との声しきり。政治評論家の有馬晴海氏を司会進行役に、会は和やかな雰囲気で始まった。

 

政治家の話は具体性に欠ける。意見や主張をもっとオープンにすべき

 早稲田大学の近藤智哉君から、「政治が非常に遠く感じます。政治の話も漠然としていてきれいごとが多い。もっと具体的な話が聞きたいのに」とのきびしい意見が飛んだ。
 口火を切ったのは、辻元清美氏。
 

「確かに政治家の意見って分かりにくい。法案のひとつとっても、誰が賛成で誰が反対なのか、なかなか把握できない。一覧表にして、インターネットとかで簡単に見られるようにすればいいですよね。委員会の議事録も、一般の人がネット上で手軽に閲覧できるようにすべきだと思うんですよ。私自身は、自分の意見をホームページで流すようにしています」 

 国会の進め方にも問題あり、と話す。「今の”陳情型”じゃ、事態は解決しませんよ。陳情する側とされる側が、一緒に解決方法を考えていくべきなんです。そのためには、主張する側も力量を高めないといけないですね」

 

居眠り議員はケシカランか つまらない議会制度が一番の問題!

 この質問に併せて、国会で居眠りをしている議員についてどう思うかという声が挙がった。

 これについて河野太郎氏は、外国の例を出しながらコメント。
「その場にいて居眠りをしたほうがいいのか、その場にいないほうがいいのか・・・・。たとえば、アメリカではしゃべっている人とあと2〜3人しか本会議場にいないんです。で、投票になるとぞろぞろ何百人と入ってくる。イギリス議会なんて、人数分の椅子がないんですよ。日本は、とにかく本会議場に入って座って話を聞いていろというスタンス。議会が始まったら始まったで、書いた原稿をただ読み上げるのみでちっとも面白くない。ヤジって盛り上がることがよくありますが、あまりにつまらなくて野次も出ないことが多い。居眠りは確かに悪いんだけど、居眠り云々というより、本当は国会の審議のシステム自体が問題なんです」

「国会議員になるまでは居眠りなんてケシカラン!と思っていたクチ」というのは、辻元氏。
「でも、これじゃあ誰でも絶対に眠くなるだろうって環境なんですよ。本会議場に足を踏み入れると、窓はひとつもないし、薄暗い。内容も、河野さんがおっしゃったようなつまらないものなので、意気込んで一番前に座ってもついフラーっと眠りに引き込まれそうになる」と、会場の笑いを誘っていた。

 

政治活動資金はすべて自分で賄う 結構カツカツな生活ぶり

「政治家の給料は高いと聞きます。少し減らして、その分を財政に回せばどうか・・・・なんて思わないですか?」と、かなり突っ込んだ質問も。

 それに対して、馳浩氏が反論。
「団体献金は一切もらっていないので、プロレス活動など政治活動以外の場所で自分で稼ぎ、年間2000万円は自分で自分の政治団体に寄付しています。これでも正直、運営はギリギリなんですよ。今のままでは、選挙活動ができるかどうかも不安なぐらいです。まあ、おっしゃるように給料を減らしてもいいんですが、その代わりに政策担当秘書がもっと欲しいですね」

 辻元氏は、いきなり持っていた給与明細をカバンから出し、学生に見えるように高々と掲げてみせた。
「これは、私の支給明細書です。歳費込みで、月額136万4000円。そこから税金などが引かれると、手取りは80万円ぐらいに減ります。そのうち50万円は、事務所の運営や人件費などに充当するお金。実際に私の手元に残るのは、30万円ちょっとというところです。これ、決して多くないでしょう? そういえば最近、洋服なんて全然買ってないわ」

 続いて、自分のホームページを持っている河野氏に対して、インターネットの活用法についての質問があった。

「自分のホームページは、週2〜3回は更新するようにしています。自分の主張を皆さんに伝えるのに、とてもいい手段だと思っています。マスコミを通さずに、皆さんと気軽に意見交換できますからね。自分でチラシを刷って1軒1軒に投げ込んだり郵送するより、断然効果的ですよね。ホームページに載せておけば、あとは皆さんのほうから見に来てくれるわけですから。これだけ安くて便利なメディアはないですよ。ただ、すべての有権者に意見を伝えることはできないので、チラシを配ることもしなければいけないけれど、今後が期待できる分野ですね」

 

中央政府はもっとスリム化すべき 地方自治体にもっと権限を!

 慶応大学の土屋聡君からは、「ご自身の地元選挙区の利益と国益、それぞれの割合はどのように考えていますか」との質問が。

 田中甲氏は「国益は、もちろん一番に考えなければならないことだと思います。ただ、大きな政府がいいか、小さな政府がいいかといえば、やはり小さな政府、かつ地方主権を進めていかなければならないと思います。そういう意味では、権限と財源というものを地方に移譲していくのが重要だと思います。そして、こういうことを考え進めていくために、国政の充実は大事です」

 この質問にともない、今後の経済対策についても、さまざまな意見がとんだ。

 馳氏が考える経済復興策は、社会保障の充実。「老後になっても、このしくみなら安心だし長生きしてもいいかなーと思えるものを提示したい。そうすれば、じゃあ働こうかとか、じゃあ結婚しようかとか、生活プランを進めることができる。そのメニューを出すのが各党の仕事で、これが一番の、大きく考えるところの経済対策だと考えています」

 海外投資を日本に持ってくるのが効果的では? と話すのは河野氏。
「私が地盤とする平塚市には、海外企業の日本本社が何社かある。地元に海外投資が来るように体制を整えるべきでは? と色々なところで話しています。でも国は、地方自治体に対してすべて同じ指図をするから、地方ごとの個性がなくなっている。自治体ごとの自由度をもっと高めて、地方ごとに競争させるのが得策だと思いますね。今の構造では、国政がダメになると、国内全体がダメになってしまう。だから、地域ごとにいくつかのブロックに分けてリスク分散すればいい。政治家がしっかり議論していかなければならない課題だと思います」

 

日本の経営者のモラル低下が無責任な経済構造を生んでいる

 辻元氏も、現状の経済構造に不安を示す。「日本の金融機関に対する責任の取らせ方は絶対的に甘い。虚偽報告は、アメリカなら禁固30年、または罰金 100万ドルなのに、日本は 500万円以下の罰金ですよ。この状況にメスを入れるのが、経済改革のために非常に大事だと思うんです。経営者のモラルも、モラルハザードを起こしている。責任を取ってトップを退いたとしても、違う役職でのうのうとしている例は多い。これでは、いつまでたっても体質改善なんてできませんよ。このままでは、いくら法の枠を作ったところでダメ。無責任な経済構造になってしまっているんです」

 経済回復のためには、ソフト面への投資が有効では、とも話す。「なかでも、教育システムにお金をかけてはどうかと思うんです。社会人になってから、手に職をつけたいと思う人が学べる機関を公費で地域ごとに作れば、そこに雇用が生まれる。かつ、新しいビジネスのヒントがそこで生まれるかもしれない」

 熱い議論が入り交じって2時間があっという間に過ぎ、活況のうちに会は閉幕。学生の感想は、「普段聞くことのない政治家の生の声が聞けた」と総じて好評。「もっと会が長ければいいのに」との意見もあった。政治家と直接交流することで、今までに比べ政治が身近に感じられるようになったのではないだろうか。


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