平成22年3月2日掲載記事


朝 日 新 聞 掲載

【北教組本部 捜査】
違法献金事件で地検

 

 昨年8月の衆院選で当選した民主党の小林千代美衆院議員(41)=北海道5区=陣営が、北海道教職員組合(北教組)側から総額1600万円の違法な選挙資金を受け取ったとされる政治資金規正法違反(企業・団体献金の禁止)事件で、札幌地検は1日午後、小林陣営の選対委員長を務めた北教組の委員長代理や書記長ら4人の逮捕を発表し、札幌市中央区の北教組本部を家宅捜索した。

 北教組が加盟する日本教職員組合(日教組)は民主党の有力な支持団体の一つ。 民主党には他にも労働組合が選挙を支えている議員が多く、今回の事件が夏の参院選に影響を及ぼす可能性が出てきた。

 逮捕されたのは、北教組委員長代理・長田秀樹(50)、同書記長・小関顕太郎(54)、同会計委員・南部貴昭(52)、小林陣営の会計担当者だった自治労北海道財政局長・木村美智留(46)の4容疑者。 北教組は現在委員長が空席で、委員長代理の長田容疑者が事実上のトップ。 札幌地換は、4人の容疑の認否について「捜査に支障がある」として明らかにしていない。

 

教員の政治活動 首相が罰則検討

 鳩山由紀夫首相は1日の衆院予算委員会で、教員が禁止された政治活動をしても刑事罰を受けないことを定めた教育公務員特例法18条2項の削除を検討する考えを明らかにした。

 北教組をめぐる選挙資金事件に関連して、馳浩氏(自民)がこの規定の削除を求めたのに対し、首相は「もっともな部分はある。 川端(達夫)文部科学相に(削除の)検討をさせたい」と述べた。

 ただ首相はその後、記者団から「今国会でやるのか」と問われた際に「過去の経緯もよく勉強しなきゃならない。 どこまで踏み込めるのか、早急に結論を出せるのか検討するように致している」と、慎重な姿勢を示した。


読 売 新 聞 掲載

【自民、予算委でも追及】
北教組事件 関係者招致要求も

 北海道教職員組合(北教組)が民主党の小林千代美衆院議員の陣営に違法な献金をしたとして1日、北教組幹部らが逮捕された事件を受け、野党側は民主党を厳しく批判した。

 「今ほど、衝撃的な、未確認情報ではありますが、(情報が)入りました」
 1日午後の衆院予算委員会集中審議。 自民党の馳浩氏が質問の冒頭、事件の一報を紹介すると委員席がどよめいた。 当初の予定を急きょ変更し、持ち時間のほとんどをこの問題に充てた馳氏は、「北教組は、勤務時間中に堂々と学校の機材を使って活動している。 地方公務員法違反だ」などと政府を追及。 川端文部科学相は「事実であれば、北海道教育委員会とも連携し、厳正に対処したい」と応じざるを得なかった。

 自民党の大島幹事長は1日夕、記者団に「民主党の自浄能力が問われる重大なことだ。(事件は)民主党の構図であり、体質だ」と語った。 さらに「国会の場で説明を要求していかなければならない。 同時に日教組(日本教職員組合)の実態を聞かなければならない」と述べた。

 今国会は、鳩山首相や民主党の小沢幹事長の政治とカネをめぐる問題が焦点となりながら、自民党は政府・与党を攻め切れず、2010年度予算委は与党ペースの衆院審議を許した。 2月22日から小沢氏の国会招致などを求め、審議拒否を行ったが、3日間で審議に復帰。腰砕け″と批判を浴びただけに、今後小沢氏らに加え、小林氏や日教組、北教組関係者らの国会招致なども求めていく方針だ。

 公明党の山口代表も1日、「目の前の自分たちの問題から目をそらして制度論を議論しても、国民は納得しない」と指摘。 同党が呼び掛ける与野党の政治資金規正法改正論議の前に、小林氏らが説明責任を尽くすことが必要だとの認識を示した。

 

【論戦細見】

〔北教組事件〕

 馳浩氏(自民) 北海道教職員組合(北教組)による選挙資金の献金に関し、捜査が進んでいる。

 川端文部科学相 違法な行為が許されないのは当たり前だ。 教育現場への影響も含め、いいことではない。

 馳氏 教育公務員特例法は、教員の政治活動を制限しているが、国家公務員並みの罰則がない。

 鳩山首相 法令順守が十分でなければ、法改正の必要性を文科相に検討させる。


読 売 新 聞 掲載

選対通じ票とカネ
労組選挙 

【北教組、潤沢な資金力】

 民主党の小林千代美衆院議員(41)(北海道5区)陣営に、政治資金1600万円を違法に提供していたとして北海道教職員組合(北教組)の幹部らが1日、札幌地検に政治資金規正法違反容疑で逮捕された。 事件の背景に浮かぶ「労組選挙」の舞台裏を探った。

 2008年9月20日。 福田康夫首相(当時)の退陣表明で「衆院選間近」という観測が広がったことを受け、北海道江別市内に、小林氏の「合同選対事務所」が開設された。

 「小林は自前の後援組織もカネもない。 我々で、やるしかない」
 約1か月後、北教組の住友肇委員長(昨年6月24日に58歳で急死)がそんな愚痴を漏らすのを、関係者は聞き逃さなかった。 「我々」とは、、組合員約1万9千人、道内の公立校の教職員のうち約34%が加盟する北教組のこと。 当時、衆院の解散が先延ばしされ、小林氏の陣営も、多くの立候補予定者と同様、資金不足に悩み始めていた。

 江別市や札幌市の一部などを含む北海道5区は、自民党の町村信孝・元官房長官の地盤。 製パン会社の労組出身の小林氏は、03年の衆院選で8800票差に迫って比例復活当選したが、05年は約4万9千票差で大敗して浪人中だった。

 このため08年4月、北海道入りした当時の民主党代表、小沢一郎幹事長は「次の総選挙では北海道はパーフェクトを目指してほしい」と強調。 5区を道内の12選挙区で全勝するための「焦点」と位置付けた。

 約2か月後、住友委員長は、「合選(ごうせん)」と呼ばれる小林氏の「合同選挙対策委員会」の事実上のトップ、選対委員長に就任する。 各産別労組の責任を明確にするため、労組幹部を選挙区別に割り振る連合北海道と民主党の戦術だった。 そして委員長代行に「連合札幌」の幹部が就き、資金担当の総務委員長には、札幌地検に逮捕された4人のうち「自治労北海道」財政局長の木村美智留容疑者(46)がなった。

 「今回は完全に『連合』の選挙。 選挙のプロが集まってくれた」。 衆院解散が迫った昨年6月初め、住友委員長は、読売新聞記者に胸を張って話していた。

 それでも資金面では当初から町村氏との差が歴然としていた。 2人が代表を務める政党支部の08年分の政治資金収支報告書によると、町村氏の収入約1億1969万円に対して、小林氏は、、わずか約2297万円。 資金不足に陥った08年秋には選対事務所の一時閉鎖も検討された。

 しかし、合選の幹部たちは「一度たたむと印象が悪い」との理由で、「ポスター張り2000か所」などというノルマを掲げ、選挙準備へと突き進んだ。

 <10月10日「プレス民主号外印刷費」計約432万円、「ポスター印刷代」計約47万円>
 <11月14日「政策チラシ印刷代」計約114万円>

 小林氏の政党支部が選挙管理委員会に提出した領収書の写しからは、08年秋から冬にかけ出費が重なっていた事実が浮かぶ。 そして合選の資金担当の木村容疑者が住友委員長に「事務所の維持費が足りない」と泣きついたのも、同じ時期の同年11月下旬だった。

 教員の主任制度に反対する北教組は、道教委に返還する主任手当を数十億円もプールするなど潤沢な資金力を誇る。 そのトップだった住友委員長は翌月、木村容疑者に現金400万円を渡し、計1600万円もの資金提供の始まりになった。
 「合選では長年、労組が票とカネの面倒をみてきた。 政治資金の使い方に有権者が敏感になり、「まずいぞ」と話していたが、注目区になって、危ない橋を渡ってしまったのではないか」

 民主党を支える労組から逮捕者を出したという現実に、党道連の幹部は暗い表情で語った。

 

 逮捕状の情報 衆院予算委ざわめく

 札幌地検が1日午後3時から北教組幹部らの逮捕を発表する直前、衆院予算委員会では、質問に立った自民党の馳浩衆院議員が突然、「衝撃的な未確認情報が入った。 札幌地検が逮捕状を請求し、北教組の最高幹部が出頭を求められているようだ」などと切り出すと、委員会室には「ウォー」という驚きとざわめきが広がった。 

 馳氏によると、質問前に関係者から、この情報が入ったため、北教組の問題中心の質問に切り替えたという。 馳氏は、北教組が勤務時間中に選挙応援をしたという教員からの情報や、事件で不透明な資金が明るみに出たことに触れながら、「(教職員組合に)収支報告書を提出させるなど法整備が必要では」と迫った。
 川端文部科学相は「不正があったのではないかと承知しているが、詳細は把握していない」と述べる一方、「(法改正の)議論はしたい」と応じた。  


産 経 新 聞 掲載

民主 北教組ショック再び
【労組丸抱え 白日に】

 北海道教職員組合(北教組)による、民主党陣営への資金提供問題は1日、北教組の委員長代理ら4人が政治資金規正法違反容疑で逮捕されるという新たな展開を迎え、民主党を再び揺るがし始めた。 札幌地検が北教組の「政治とカネ」 の全容解明を目指しているとされ、事件拡大の可能性が指摘されるためだ。 民主党は労組丸抱え選挙の実態が国民の目に明らかになることもあって事件を深刻視している。

 

どこまで拡大

 「今、衝撃的な情報が入った。 札幌地検が北教組幹部の逮捕状を請求し、出頭を求めるようだ」
 1日午後。 自民党馳浩衆院議員がこう告げると、予算委員会はどよめきに包まれた。 北教組幹部ら逮捕の「事前情報」が語られたからだ。

 来年度予算案の衆院通過を目前にした民主党。 だがこのひと言で閣僚たちの目も覚めたようだ。

 事件は、小林千代美衆院議員=北海道5区=陣営への政治資金提供問題で始まって、公職選挙法違反で逮捕された小林陣営の元選対幹部は2月24日、札幌地裁の有罪判決を不服として、控訴したばかりだった。 

 民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体の収支報告書虚偽記載事件と、鳩山由紀夫首相自身の実母からの資金提供問題だけでも苦慮していた民主党だが、北教組は北海道内で多くの民主党議員の支援をしてきた経緯があるため、「事件がどこまで拡大するのか」(民主党中堅)という不安を引き起こした。

 「そんなこと、コメントする必要はない」。 北教組の上部団体、日本教職員組合の政治団体「日本民主教育政治連盟」の会長でもある輿石東(こしいし あずま)民主党参院議員会長は1日夕、コメントを拒否した。

 民主党定例役員会でも誰一人、この件を口にする役員はいなかった。

 1審有罪の小林陣営の元選対幹部は連合札幌の前会長。 今回の逮捕者は北教組幹部と自治労北海道財政局長と、労組幹部が軒並み当事者だったからだ。

ここぞと自民攻勢

 当然のように、自民党は攻勢かけた。 自民党北海道連関係者は「労組は他の民主党議員に裏金を渡していなかったのか。 小林議員は辞職すべきだ」。  大島理森幹事長も「民主党の自浄能力が問われる」と切り捨てた。

 予算委で馳氏は北教組の政治活動も指摘した。

 北教組が2月1日午後2時27分にファクスした分会長会議の開催案内文を披露して「先生たちが勤務時間中に堂々と組合活動を、学校の機材でやっている動かぬ証拠だ」と切り込んだ。

 これには鳩山首相も苦渋の表情を浮かべ「胸が痛む思いだ」答弁するのがやっと。 同日夜、官邸で記者団に対しては「遺憾だ。政治家と組合とのかかわりで起こったことなので、深刻に考えるべきだ」とトーンを強めて事件を厳しく指弾せざるをえなかった。

 日教組の支援を受けていない民主党若手は1日、「もう教職員組合なんてイヤだ。 小林議員もさっさと離党すればいいのに」とこぼしていた。

 

教職員政治活動 首相、罰則を検討

 鳩山由紀夫首相は1日の衆院予算委員会で、公立学校教職員による選挙運動など政治的行為の制限を定めた教育公務員特例法について、罰則規定を設ける方向で改正を検討する考えを示した。 自民党の馳浩氏が北海道教職員組合(北教組)の幹部が逮捕されたことを受け罰則規定を提案すると、首相は「そのことを川端達夫文部科学相に検討させたい。 教職員は、聖職者であるペきだ」と明言した。

 同時に、北教組による選挙運動の実態について「このようなことが続くと教職員と政治家のかかわりの中で教育の問題にも影響がでる」懸念を示した。

 公立学校教職員は政治的中立性確保の観点から、一定以上の政治的行為は禁じられているが、現行法では罰則規定がなく、選挙運動が野放しになっている。 


北 國 新 聞 掲載

【首相、教員の罰則強化検討】

 鳩山由紀夫首相は1日の衆院予算委員会で、政治的行為の制限に違反した公立学校の教員に対する罰則強化を「川端(達夫文部科学)大臣に検討させたい」と述べた。 民主党の小林千代美衆院議員を支援した、北海道教職員組合(北教組)の政治資金規正法違反事件を取り上げた馳浩氏(自民)への答弁。
 現行の教育公務員特例法は、政治の中立性を求められている公立学校の教員が政治的行為の制限に違反しても刑事罰を科さず、懲戒処分にとどめている。

馳氏、北教組問題を追求

 首相は、馳氏が北教組の政治活動実態を指摘したのに対し、「このようなことが続くと、教員と政治家とのかかわりの中で、教育の問題にも政治家にも影響が出ることになる」と述べた。
 馳氏は質疑で、北教組事件を小沢一郎民主党幹事長や鳩山首相の「政治とカネ」問題と絡め「ゼネコンとマザコンと日教組の裏金で選挙を戦った政権の正当性が疑われている」と厳しく批判。 委員会後、「教育公務員特例法の改正を『検討させる』という首相の言葉は重い。 文科相の対応に国民の監視の目が光るだろう」と語った。



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