「外国人学校支援法案」 与党が提出へ

『共存共栄 経済成長の要』

教育の充実こそ国益
馳浩議連事務局長に聞く
東京新聞  平成21年3月26日掲載

 

 不況の荒波を真正面からかぶったブラジル人学校などへの公的支援を可能にする「外国人学校支援法案」(仮称)を、自民・公明両党の議員連盟(外国人学校および外国人子弟の教育を支援する議員の会)がつくる。 国粋主義的な支持者も少なくない自民党から、なぜ、こういう動きが出てきたのか。 議連事務局長の馳浩衆院議員に迫った。 (市川隆太)

 支援法案が成立すれば、自治体に認可されず「寺子屋扱い」だった外国人学校も「学校扱い」されるようになる。 むしろ人権派学者や野党が熱望してきた内容だ。

 

 −なぜ、与党から、という驚きがあるが。

 「モノづくりを外国人が支えてくれていることを、企業人も国民も、本当は分かっているのに、目をつぶってきたのではないか。 今般(解雇で)帰国を余儀なくされたりして、外国人児童・生徒が犠牲になっている。 姿形はブラジル人だがポルトガル語ができない子どもたちを『自己責任だよ』と切り捨てることができるでしょうか。 13万人から14万人いる学齢期の子の将来を考えてあげるのが、政治の責任。 日本は経済大国であるだけではない、教育大国でもある、ということが、世界からの評価を高めるはずだ。 それこそ、国益にかなうと思っている。この法案が、国の形を考える大きな議論の第一歩になると思う」
 とはいえ、雇用情勢の悪化が、わが国の外国人排斥論に拍車を掛けている。四半世紀昔、盛り上がっていた「内なる国際化」論も影が薄れた感がある。

 

 −国粋主義的な有権者からの反発もあるのではないか。

 「外国人問題はイデオロギー問題ではなく、地域経済論だと思う。 外交問題などにすりかえてはいけない。 使うだけ使ってポイすることの問題を、外国人集住都市の政治家は、よく分かっている。 定住外国人との共存共栄は、人口減少や高齢化の中、資源小国が経済成長を確保するために、国是として、政府が責任をもってやるべき課題だと思う」

 

 −外国人の子どもも公立学校で学ぶ、というのが政府の方針だ。 この内容で、文部科学省など政府サイドと折り合いが付くのか。

 「外国人子弟への日本語教育などの面で、すべての公立学校で環境整備されているわけではない。 だからこそ、現実にはブラジル人学校などがあり、補完的役割を果たしている。 これは補完的役割を果たしているところを支援する法案だ。 しかも、公的支援をすりかどうかは自治体が判断し、支援した自治体が申請してくれば、国も助成してよいという内容だ。 いきなり、国費で支援します、という法案ではない。 政府方針にも反していないはずだ」

 

 「外国人学校および外国人子弟の教育を支援する議員の会」の主なメンバー
 会長=河村建夫(自民)、幹事長=山本栄一(公明)、顧問=森山真弓、谷垣禎一、金子一義、塩崎恭久、高市早苗、小坂憲次、藤井孝男、中曽根弘文、若林正俊(以上自民)、坂口力、神崎武法、浜四津敏子(以上公明)、事務局長=馳浩(自民) =敬称略

 



外国人学校 無認可校へ助成可能に】

与党議連が法案準備   東京新聞 平成21年3月26日掲載

 

 不況で学費を工面できない外国人学校の児童・生徒が相次ぐ中、政府が憲法89条をたてに外国人学校への資金支援に難色を示している問題で、自民・公明両党の議員連盟「外国人学校および外国人子弟の教育を支援する議員の会」(河村建夫会長)は25日、資金支援を可能にする「外国人学校支援法案」(仮称)の素案をまとめた。今国会中の法案提出をめざす。野党が同調すれば、外国人学校救済が一気に前進する。

 議連は山下栄一幹事長、馳浩事務局長といった教育経験者や、外国人集住地区の国会議員ら55人。

 法案は、▲各種学校に認可されていない外国人学校でも、国の「各種学校規程」を満たせば、地方自治体は資金支援してよい。 ▲自治体に外国人学校の支援金乱用防止権限を与える。 ▲国は、外国人学校を資金支援した自治体に補助金を出せる――が骨子。

 憲法89条は、公の支配に属さない教育事業への公金支出を禁じている。岐阜県がブラジル人学校に資金援助しようとしたところ文部科学省から憲法違反のおそれを指摘され、奨学金給付に変更した例があり、各自治体が二の足を踏んでいる。

議連は、政府が違憲論を撤回する見込みはないと判断。議員立法により、政府の方針転換を促すことにした。

 

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 公金支出に法的根拠

外国人学校支援   官僚政治への挑戦状 

 

 与党議員連盟による「外国人学校支援法案」(仮称)策定は、決断できない官僚政治への挑戦状である。

 東京高裁が1990年に、無認可の幼児教室への公金支出は憲法89条違反でないとする判決を出し、最高裁判決も幼児教室に軍配を上げた。

 にもかかわらず、内閣法制局は無認可の外国人学校などへの公金支出は違憲との姿勢を崩さず、文部科学省も右ならえしている。 国の各種学校規程(旧文部省令)を満たす外国人学校が、地方自治体の独自判断で各種学校に認可されないケースもある。

 支援法案は、省令を満たしたのに無認可の「寺子屋扱い」されてきたブラジル人学校などに法的根拠を与え、初めて「学校扱い」する画期的なもので、大筋、野党も異論はないはずだ。

 議連メンバーにタカ派と呼ばれてきた人々もおり、日本経済を支える外国人の子どもの問題が、もはや人権派だけの関心事ではない緊急課題であることを物語っている。 【特別報道部・市川隆太】


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