第百四十六回 国会
参議院中小企業対策特別委員会会議録第四号
平成11年11月19日(金曜日)午前11時16分開会
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○陣内孝雄委員長
ただいまから中小企業対策特別委員会を開会いたします。政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
中小企業基本法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長上杉秋則君、同審査局長平林英勝君、金融監督庁長官日野正晴君、通商産業省産業政策局長村田成二君、中小企業庁長官岩田満泰君、労働省職業安定局次長青木功君及び同職業能力開発局長日比徹君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)御異議ないと認め、さよう決定いたします。
中小企業基本法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
○馳浩中小企業対策特別委員
おはようございます。自由民主党の馳です。公正取引委員会は不当廉売をちゃんと取り締まっているのかというテーマについて質問をさせていただきます。
平成10年版の中小企業白書によれば、中小企業庁「設置法に見られるような独立多数の企業が自由で公平な市場経済において事業活動を営むことの基本的な重要性は、半世紀を経て経済のグローバル化が進展し大競争時代を迎えた現在、むしろ一層高まりつつある」と述べて、反独占政策の意義を今日的な観点から述べております。
この点について私見を申し上げますと、そもそも中小企業の存在意義は、設置法一条の目的にもあるとおり、大企業に対抗する勢力、すなわち反独占勢力であると思います。しかし、単なる反独占勢力ではない。大競争時代を迎えた今日において、保守化した大企業に比べて、イノベーション創出を担えるのが中小企業であると思います。
であるならば、いたずらに中小企業を保護するのではなく、規制緩和と反独占政策、すなわち積極的な競争促進政策とイノベーション創出支援政策の一体的な推進の中で中小企業を育成することが反独占政策の今日的な意味と考えますが、深谷通産大臣の御所見を伺いたいと思います。
○深谷隆司国務大臣(通商産業大臣)
おはようございます。馳先生の元気な声で自が覚めたような気がします。馳委員の御指摘は、中小企業における反独占政策についてどう考えるかということが第一であると思います。
私は、中小企業基本法が制定された昭和38年というのは、例えば中小企業が共同してスケールメリットを追求するとか、あるいは中小企業が団結して大企業との間にその事業活動に関する協約を締結するということで保護していくという、そんな感じがございました。
しかし、今日の時代では、グローバル化が進んでおりますし、情報技術の革新等によってもうそういう形ではなくなりつつある。だから、規模の大小よりも技術の独創性だとかアイデアの卓越性ということが重要になって、スケールメリットの追求よりも不足した経営資源を相互に補完することの方が重要になってきている。さらに、内外の市場が一体化しつつある中でありますから、保護的な手段というのがそもそも有効性がなくなってきているというふうに考えます。
そのような前提に立って、例えば、昔ありました商工組合の特殊契約制度は平成9年に廃止されるとか、あるいはアウトサイダー規制等も廃止されましたし、商工組合の合理化カルテル、安定化カルテルも今般は一括法として廃止をしていくと、そういう方向にあるというふうにまず考えます。
それから、今お話がありましたように、イノベーション創出というのは大変重要でございまして、新基本法でも創業・ベンチャー促進を重点政策の一つとして第十二条、第十三条、第十四条でそのあたりを示しているわけでございます。そして、市場における競争を基本といたしまして、中小企業もその強みを発揮していけるような状態をつくっていくということと、不足がちな人材とか技術だとか情報等の経営資源の確保をこれからきちっとできるような体制をつくっていくとか、つまり新しい時代に応じた中小企業のニーズにこたえていくことの方が今日は大事だというふうに考えます。
○馳浩中小企業対策特別委員
積極的な競争促進策には規制緩和は不可欠でありますが、同時に市場の公正な競争秩序の確立も不可欠であり、したがって両者は車の両輪と言えます。政府も、今年の3月30日の閣議決定において、「規制緩和の推進に伴う諸方策」の一つとして「公正かつ自由な競争の促進」を掲げ、「規制緩和後の市場の公正な競争秩序を確保するため、中小事業者等に不当な不利益を与えるなどの不公正な取引に対して厳正・迅速に対処する」と述べております。全くそのとおりの決定であり、時宜を得ていると思います。
そこで、この閣議決定を受けて、どう公正取引委員会は対応しているのかお伺いしたいと思います。
○根來泰周政府特別補佐人(公正取引委員会委員長)
ただいまの御指摘は当然の御指摘でございまして、閣議でもそういう決定がございますし、この国会でも、私ども、もう既にそういう問題について問題提起を受けているところでございます。私どもも精いっぱいその御要請に応じるように努力しているつもりでございますけれども、なお不十分な点もないわけではないと自己反省をしているところでございます。
ただ、平成9年の10月以降、半年ごとに、「規制緩和後の市場における不公正な取引方法に対する取組の状況」というものを私どもの委員会の名前で公表いたしまして、私どもの半年の仕事のおさらいといいますか、そういうことで公表して、一般の御批判を仰ぎ、また参考になるように事情を御説明しているところでございます。
○馳浩中小企業対策特別委員
まだ十分な対応ではないということはまず申し上げておきたいと思います。というのも、我々国会議員に来る不公正な取引方法に関する陳情は後を絶ちません。特に、独禁法で禁止されている不当廉売についての陳情が多く、公取のさらなる厳正な運用を望む声が多いからです。また、衆参の委員会で不当廉売の問題が取り上げられることが非常に多い。
そこで質問ですが、不当廉売の申告件数、さらに、申告の中には同じ事例を申告しているものも多数見受けられると思いますので、実際の受理事件件数はどのくらいで、どのぐらい調査に入るのか。これを踏まえて、不当廉売等の不公正な取引方法に対する公取の取り締まりは十分行えていると公取自身は考えているのか。さらに、これを専属に行う審査官を内部の異動でふやすおつもりはないのか、お伺いしたいと思います。
○根來泰周政府特別補佐人(公正取引委員会委員長)
ざっと申しますと、申告件数は最近は年間に二千件ぐらいございます。二千件は申告がありましたら調査はしているわけでございますが、何しろ件数が多いものですから、重点的に調査をいたしまして、そのうち六百件ぐらいのものについて注意ということをいたしております。これは再々申し上げて恐縮でございますが、私どもの一つの悩みというのはやはり人数が少ないということでございまして、これを専任に扱っている者が15人ということでございます。そこで、国会でもこういう御議論が再々ございまして、特に、最近は若干その傾向は薄まっておりますけれども、ガソリンについて不当廉売があって、そしてガソリンスタンドが不公正な競争の結果倒産しておるという実情もございまして、それは国会でも指摘されているところでございますけれども、そういうことが背景にございまして、通産省も大変御理解いただきまして通産省からも応援いただいて事案の処理をやっているわけでございます。
○馳浩中小企業対策特別委員
結局は、取り締まり審査官といいますか、員数の問題に収れんされてきております。しかし、行政改革の一環としての公務員削減が叫ばれている中、大幅な増加は非常に困難であります。そして結局この問題は行き詰まっております。そこで、私は別の観点からこの問題を考えて、結果として不当廉売等の行為が防止できるような施策を提案したいと思います。
その一つが、公取が行う行政指導としての注意、警告をさらに強化させる手段であります。
そこで、具体的な質問に移る前に、行政処分としての勧告との違いを踏まえて、行政指導としての注意、警告の目的とは何か、さらにどんな場合にどのくらいの処理期間を経ておのおの出すのかを説明してください。
○平林英勝政府参考人(公正取引委員会事務総局審査局長)
私ども公正取引委員会といたしましては、もちろん違反事実を証拠で認定できるという場合には勧告などの法的措置をとるわけでございますが、審査をしても、違反の疑いはあるけれども証拠がつかめないということでそういう法的措置をとるに至らないケースもあるわけでございます。ただ、それをほうっておいてよいのかということもございますので、そういった違反の疑いがあるものにつきましては、警告という措置をとるようにしているところでございます。また、注意についてでございますけれども、違反の存在を疑うに足る証拠が得られない、したがって警告はできないけれども違反につながるおそれがあるという場合には、違反行為の未然防止を図る観点から、注意という措置をとっているわけでございます。
それから、それぞれの処理期間でございますけれども、警告につきましては原則公表というようなことにいたしておりますので、それなりの慎重な調査活動というものが必要かと存じますので、おおむね6ヵ月から事案によりましては1年程度かかるというのが通例でございます。一方、注意につきましては、例えば小売業における不当廉売事案につきましては、迅速に処理するということを方針としておりますので、おおむね2ヵ月以内に処理するということで、2ヵ月以内に処理しているところでございます。
○馳浩中小企業対策特別委員
経済というのは動いております。警告が6ヵ月から1年、注意に至っては2ヵ月、法的な拘束力もない中で、これはどのような実効カを日本の経済、とりわけ中小企業の皆さん方の日ごろの事業活動に与えるのかということをもっと厳しく私は追求する必要があるのではないかということを指摘させていただきます。さて、不当廉売行為には三つの成立要件があります。一つは、供給に要する費用を著しく下回る対価での継続的販売、これを価格要件と言います。二つ目が、競争事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあること、これを影響要件と言います。三つ目が、正当な理由がないこと。以上三つが不当廉売の成立要件であります。
問題は、勧告は別として、行政指導である注意、警告がこの三要件を満たすと公取が認定してから行っていったのでは注意、警告の本来の目的に反するということです。
そこで質問ですが、注意、警告のおのおのは、不当廉売行為の三つの成立要件のうちどの要件が満たされると認定または確信を得てこれを出すのですか。
○根來泰周政府特別補佐人(公正取引委員会委員長)
御指摘の点も大変難しいことでございます。警告につきましても、この三要件を調べまして、疑いがあるけれども事実を確定できないというときに警告をしているわけでございます。しかし、仰せのように、警告の三要件を調べますとなかなか時間がかかるということはございます。これも、お説のように時間がかかると経済の状況が変わってしまうという悩みがあるわけでございますので、そこで私どもは、多少踏み切った姿勢でございますけれども、例えば仕入れ価格を割って販売している場合は、そういう申告がありましたときには、とりあえず現場に参りまして、そういうことは不当廉売につながるよということで注意をして、事前にそれを制止するという方向で注意をしているわけでございます。これは若干注意を受ける方とすれば疑問があると思いますけれども、やはり行政指導としてはその辺は許されるのじゃないかというふうに私どもは考えております。
○馳浩中小企業対策特別委員
一言で言うならば甘いと私は思います。確認ですが、不当廉売の価格要件を満たす行為は、明らかに影響要件を満たさない場合、例えば販売数量が数個とかそういう場合を除いて、この段階で注意を出せばよいと思うのですが、そういう結果にちゃんとなっているのか確認したいと思います。
こういうふうに考えますのも、最高裁の平成元年12月14日の判決が、価格要件を満たす行為は原則禁止されると明言し、価格要件を満たす行為の多くは影響要件すなわち競争事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあると判示しているからです。
そうであるならば、公取が注意を出す場合の基準としている違反につながるおそれのある行為が見られた場合に当たると思うからです。そのようになっておりますでしょうか。
○根來泰周政府特別補佐人(公正取引委員会委員長)
先ほど申し上げた三要件、御指摘のありました三要件でございますが、何分その基本は「商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給し、」というところでございますから、この要件がございますれば注意をする価値のある案件ではないかと思います。ただ、「他の事業者の事業活動を困難にさせる」というところまで踏み込んでいきますと、やはり時間がかかるという悩みがあるわけでございまして、その辺は若干の見通しで行っているところでございます。
○馳浩中小企業対策特別委員
若干の見通しというお言葉がありましたが、この点について一般の国民の皆さん方が十分に理解していないのではないかという点を私は指摘をさせていただきたいと思います。文献等を読みますと、公取は、勧告の運用もさることながら、注意についても厳格に運用している等の意見を目にします。情報公開にもっと努めるべきと思いますが、この点御意見があればお聞かせください。
○根來泰周政府特別補佐人(公正取引委員会委員長)
これも何かつぶやきみたいな話でございますけれども、私どももこういう不当廉売は当然公正な自由な競争に反するということで厳正に対処しているところでございますが、一方ではやはり価格に介入するということについては強い反発がございます。例えば、これも雑談のようなことで恐縮ですけれども、こういう不当廉売の手入れといいますか、そういうことをやりますと、非常に消費者から反対があるわけでございます。そういうこともございますので、私どもの立湯を十分に説明するように努めているところでございますが、なかなかそれもかく隔靴掻痒のところがございまして、私どももこれからどういうふうにしていいかというところは多少思案投げ首のようなところはございます。
○馳浩中小企業対策特別委員
申し上げたいことは多々ありますが、警告について質問いたします。先ほどの答弁では三要件全部を考慮して出すとのことでありますが、どの程度の確信を得て警告を出すかが問題だと思います。といいますのも、平成8年から現在までの不当廉売に関する警告件数は、平成8年がゼロ件、平成9年がゼロ件、平成10年が1件、ことしが今のところゼロ件。注意に比べると極端に少ない。注意については、平成8年が150件、9年が217件、平成10年が599件、ことしが10月現在で401件。これは、消費動向もありますが、経済の動向も踏まえるならば、こういった点が大変いわゆる中小の事業者に対して、中小の事業者が不当廉売によって不当な不利益、不公正な中での競争にさらされているということの実態をあらわしている数字であるとも私は思っております。
警告は原則公表しますからこの点を考慮してということですが、不当廉売行為を行ってる者を擁護し過ぎではないかというのが私の指摘です。特に、不当廉売行為のうち、その他一般不当廉売行為とは区別されている一般指定六項前段の行為、現在問題にしている継続的仕入れ価格割れ販売行為に対しては擁護し過ぎであると私は言いたいと思います。
私がこう考えますのも、先ほども言いましたが、最高裁の判例がその根拠となっております。
すなわち、最高裁平成元年12月14日判決は、この継続的仕入れ価格割れ販売を事業者の事業活動を困難にさせるおそれが多いと言い、原則としてこれを禁止すると判示しております。つまり、不当廉売の価格要件を満たすと認定できた行為は、原則的に独禁法が禁止する不当廉売だと言っているのです。そうであるならば、六項前段の価格要件を満たす行為は、後段の行為と区別して、審査官の心証がクロで勧告を目指したが証拠の関係上立証できなかった事案についてのみ警告を出している現状は改めるべきと考えます。
すなわち、価格要件を満たす行為については、現状の注意案件のうちでも、その販売規模の大きさ、販売商品の特性、現在の政策展開との関係、さらには注意を過去にも出しており、そのときはやめたがまた行った場合等、問題が大きいものについて警告を出すべきではないかと考えるが、いかがでしょうか。
○根來泰周政府特別補佐人(公正取引委員会委員長)
この警告というのは、三要件を調べたけれども疑いがあるけれども立証ができないということでございますから、案件によりまして最初からやはり排除命令ということを念頭に置いて調査をするわけでございますが、そこに調査をした結果やはり排除要件を立証するに足らないということで警告をしているわけです。ですから、注意というのは、要するに案件によりましては早く行ってそれを差しとめた方が早いだろうということで注意ということにとどめているわけでございまして、やはり警告まで持っていくには相当の時間がかかるわけでございますので、その辺の兼ね合いということがあるわけでございます。
確かに最高裁の判例の読み方もおっしゃる点があると思いますけれども、我々やはり行政をやる者としては、この三要件は同じような重さで受けとめるべきだというふうに考えております。
○馳浩中小企業対策特別委員
最高裁の判決を何か公取は拡大解釈しているような私は印象を受けますが、もっとこの最高裁の判決を重く受けとめて、価格要件が満たされた場合に十分に注意もし、警告に対してもやっぱりきちんと対処すべき、そういう仕事をするのが公取ではないのかということを私は申し上げているのでありまして、本当に公取はこの質問のテーマでおります不当廉売行為をしっかりと取り締まっているのか、対処しているのかという点は、これは継続して私も問題点としていきたいと思います。大臣に質問いたします。
公正な自由競争秩序の確立は、何も中小企業対策だけではなく、国際的な重要な課題でもあります。そこで、法的根拠がない行政指導としての注意、警告を勧告のように法的な行政処分として格上げをして、透明でわかりやすい、それこそルール型行政の見本として独禁法に明文化すべきか否かを真剣に検討すべき時期ではないかと思いますが、この点についての御所見を伺いたいと思います。
○深谷隆司国務大臣(通商産業大臣)
不当廉売の声は私どもも頻繁に耳にいたしております。厳正な、そして迅速な対応が公取委員会には求められていると私も思います。先ほど委員長は、ひとり言として、つぶやきとして、消費者の批判もある云々の話がありました。大臣として公取委員会に直接物申すわけにいきませんが、ひとり言で言わせていただくならば、批判を恐れずに厳正に対応すべきであるのではないかなという思いを持ちます。
あなたが今言われた独禁法の改正という点について、注意、警告、勧告、特に勧告の場合には行政処分でありますが、法改正をしたらいかがかという点については、御意見としては承りますけれども、その改正が適当か否かということについては、これは独占禁止法の全体の体系の中で十分議論すべき問題ではないだろうかというふうに思います。
いずれにいたしましても、通産省といたしましては、公正取引委員会による独占禁止法の厳正、迅速かつ透明な運用を引き続き期待しているところでございます。
〇馳浩中小企業対策特別委員
法改正の立場について、この時点でそういう御答弁であろうかなとは思いますし、私の意見は、意見としての意味ですが、この点はむしろ積極的に政府側が取り組まないのであるならば、これは中小の事業者の皆さん方の声をいただいて、議員立法としてでも私たちは考えていく姿勢を示すのが国会の仕事ではないかということを表明して、次の質問に移ります。ベンチャー企業の育成に関しまして文部省にお伺いをいたします。
具体論として、ベンチャー企業育成の技術面の支援体制、この一つとして技術移転機関、TLOの創設が挙げられます。この制度のおかげでアメリカでは、1980年から96年までに二千社近くの企業が生まれ、22万人の新規雇用が生まれたと聞いております。
文部省にお伺いいたしますが、このTLOの概要と現在までの設立数、どんな優遇制度があるのか、あわせて、国立大の教員が株式会社のTLOの役員として兼務できるかの問題について、近々新たな人事院規制の制定も予定していると聞いておりますが、この点も教えていただきたいと思います。
○河村建夫政務次官(文部政務次官)
お答えいたします。馳委員御指摘のTLOの概要、それから設立数、支援策のことでございますが、これからのベンチャービジネスを育てていく上でTLOの役割というものが非常に大きくなってくるということで、この技術移転機関、これは法律を昨年つくりまして、いよいよこれが実施されてきたわけでございます。
このTはテクノロジーのTで、ライセンスのL、それからオーガニゼーションのO、これからきているわけでありますが、これは、大学等で研究をいたしておりますが、そういう研究成果を企業へ移していく。その際、特許収入等がございます。そういうものを大学とか発明者に還元をしていく。こういうことでございまして、それをさらに、その成果をどんどん生み出していこう、研究活動を助長していこう、こういうことで知的創造サイクルの創出を目的にする。こういう言われ方をしておりますが、これがTLOの概要でございます。
そして昨年、大学等技術移転促進法と言っておりますが、法律が通りました。それを受けまして、本格的にこの機関の設立が進んでおるわけでございます。
これは文部大臣と通産大臣の承認を受けていくわけでございますが、これまで8機関、東京大学に株式会社先端科学技術インキュベーションというのができております。これを初めとして今8機関承認をされました。さらに、20以上の大学等で検討し、あるいは申請にひっかかっている、こういう状況でございまして、これはこれからどんどん進んでいくだろうというふうに思っておるわけであります。
また、承認をされたTLOは、これは通産省の方がやっていただくわけでありますが、助成金あるいは債務保証あるいは特許の手数料を軽減してあげる、そういうふうな支援措置でこのTLOがどんどん進むように支援措置が設けられております。文部省といたしましても、この産学連携をこれから経済活動の活性化の中に生かしていくということで、大いに進めていかなきゃなりません。
馳先生の地元の北陸先端科学技術大学院もございますし、金沢大学もございますが、まだ出てきていないようでありますが、ひとつ督励をしていただけたらどうであろうか、このように思います。
それから、あわせてこのTLOで役員兼務の問題、さきに一橋大学の中谷教授の問題もございまして、この問題について役員兼業をどうだということで詰めてきたわけでございますが、これは人事院の承認、文部省との間でこの承認の条件、手続、相談を進めてまいりました。
御案内のように、一般の企業の兼務については、憲法第十五条の公務員は全体の奉仕者だ、こういうことがございまして、このことについてはまだ要件が得られておりませんが、このTLOについては、TLOの成果というものが今の憲法との兼ね合いからいっても公共の福祉というようなこともありますので、いろいろ詰めてまいりまして、人事院としても広く意見を聞こうということで、いわゆるパブリックコメントの手続を行いました。インターネットで広く国民の意見を聞く。その中で今後、人事院規則を整備して、ある程度の条件はつきますが、遅くとも来年、平成12年の4月より人事院規則を改正して、このTLOに大学の先生方が取締役として就任できるようになるというふうに進んでおるというふうに聞いておるわけでございます。
文部省としても、国立大学教員等がTLOへ入っていただくということについては、大変結構なことでありますから、大いに促進をいたしたい、このように考えております。
○馳浩中小企業対策特別委員
TLOの課題について二点質問いたします。まず第一点目ですが、大学での技術というのは大変基礎研究が多い。これを実用化するときには、さらにほかの技術との組み合わせも必要になってきたりいたします。さらなる研究開発が必要なときもあります。そういう意味で、このTLOの補完機関が大学においてもあるいは大学以外においても必要なのではないかという点が一点目の質問です。
二点目は、TLOを通じて企業に移転した技術というのは特許となります。ところが、その業務を行う弁理士が少ない、そして東京に集中している。調べたところによりますと、98年で全部で4011人の弁理士が登録されていますが、そのうち東京が2665人と三分の二を占めております。我が北陸では14人、石川県では4人、全国を見ますと、ゼロ人が3県、1人から3人までが16県という惨たんたる状況です。
この状況をどう打開するのか。このままでは、地方大学での技術移転、実際に企業に移転されたときの特許の申請とか事業化に向けての取り組み、これを支援する体制が司法の側からも不十分ではないかと思いますが、この二点についてお伺いいたします。
○細田博之政務次官(通商産業政務次官)
TLOを育てるための補完機関の必要性とか、それから技術評価も大事でございますから、そういったことも必要でございますので、あわせてお答えをいたします。中小・ベンチャー企業などに対しまして総合的な支援を提供する機関として、新事業創出促進法に基づきまして地域プラットホームが都道府県等を単位に整備されてきているところであります。通産省といたしましては、地域プラットホームの活動に対する助成やインキュベーター等の整備に対する支援を行ってきております。今後とも、これらとの連携を図ることにより、民間事業者に移転された大学の技術の事業化を促進していく考えでございます。
また、技術の評価につきましても、知的財産権、特許権の評価について、評価手法の確立を目的としまして特許評価指標を試案として作成して4月に公表しておりますが、こういった指標の利用によりまして民間の技術評価機関の能力向上が図られる、こういったことが大変TLOの今後の発展に大きな役割を果たすと考えるわけでございます。
弁理士の東京集中あるいは大都市集中という問題については、私どもの選挙区の島根県などは弁理士がゼロという惨たんたる状況でございますが、やはり仕事のチャンスが少ないものですからおのずとゼロになるということで、広島の方に兼務をしてもらったりいろんなことが行われております。
しかし、それらを補完するために地方の個人、中小企業等を対象とした講習会や無料相談の定期的開催、そういったことも行っております。そして、そのような機会に講師、相談指導員として弁理士を派遣すること等によりまして、サービスの提供を図っているということ。
それから、弁理士会においても、弁理士数の少ない県等における出願人の依頼に応じまして近隣の弁理士を紹介したり、弁理士の無料相談サービスを行っておりまして、例えば弁理士会による無料相談の頻度は平成10年度で全国で5241回に上っておりますし、特許庁による特許等の講習会、相談会なども全国で年間に2200回以上行われておるというふうに、弁理士の偏りを何とか補完するように一生懸命取り組んでいるところでございます。
○馳浩中小企業対策特別委員
私、一点指摘をさせていただきたいのですが、これからの企業活動は、まさしく国内においてはもとより国際的にもその持っておる知的財産、特許といったものをいかに有効に活用していくか、今回のように技術移転の場合にいかに法的に迅速に処理をしていくか。そういう観点からすれば、今大企業等はリストラの中ではありますが企業内の法務部を大変充実しております。これが大都市中心であったりというふうなことになりますと、まさしく、地方の中小企業がせっかく努力をしても、このTLOの制度を使って技術移転を図っても、本当に事業化をするときに法的な支援が得られなければ全く本来の政策の趣旨が達成できないということになります。
まさしくこれは法務省の司法制度改革の中での一つの観点だとは思いますが、この点の充実といったものも法務省と連携をとりながら支援をして、法的な便益を得られないような中小零細企業の皆さん方に対する配慮をしっかりとしていただきたいと私は思っております。
最後の質問になりますが、関連して、御紹介かたがた確認したい質問をします。
それは、神戸市を中心とするTLOの試みでありますが、いわゆる都道府県レベルのベンチャー財団がその機構の中にTLOをつくり、しかも一校の大学ではなく、周辺の大学三校での共同TLOをつくる試みであります。具体的には、神戸市の財団法人新産業創造研究機構がその当事者だが、このTLOは立ち上がったのかどうか確認をしたいと思います。
さらに、この試みはスケールメリットもあり、情報のネットワーク上も有利で非常にすばらしい試みと思いますが、どのように評価をされているのかもあわせてお伺いしたいと思います。
○村田成二政府参考人(通商産業省産業政策局長)
御説明申し上げます。先生まさしく御指摘のとおり、現在、新産業創造研究機構、これは兵庫県の認可した財団法人でございますが、それを中心といたしまして作業が進んでおりますが、今年度内にTLOを立ち上げる、こういう目途で検討が進んでいるというふうに伺っております。
この評価でございますけれども、基本的に私ども先生のおっしゃるとおりすばらしいことだと評価いたしております。具体的に申し上げれば、一つはやはり地域の複数の大学、これが共同して事業を行う。しかも、産業界とか関係機関と幅広い連携のもとに幅広い技術シーズの提供が可能になっていくというスケールメリットが生かせる、これが第一点でございます。
それから二点目は、情報システムを生かしまして相互連携をしていく、そういうことによりまして、ある意味で一部門の情報提供ではなくて総合的な情報提供が可能だ、この二点において評価いたしている次第でございます。
ただ、いずれにしましても、今後できるだけ早期に具体的な提案、これは資金の点ですとかあるいは大学としてどういうポジションで参加するのかといったようなことがきちっと早く固まっていただきたい、それに基づく提案をしていただきたい、こういうふうに希望している次第でございます。
○馳浩中小企業対策特別委員
これは私の意見でありますが、ペンチャー支援という観点からのTLOの取り組みばかりではなく、既存の中小零細企業も集まって協同組合等をつくって、特に若手の方に多いのですが、新しい材料、繊維業界だったら新しい生地をつくろうか、そういう場合にこういうTLOの取り組みをしていこうと。つまり、既存の中小零細企業もそういう取り組みをしている県が私は全国に多々あると思うんです。そういう点もぜひ考慮に入れながら、そういった支援体制も組むということが必要であるというふうな認識のもとに今後取り組んでいっていただきたいと思います。
終わります。