馳浩の永田町一筆勝負52
根回しあり、イビキあり、ヤジありの本会議風景
平成10年4月11日掲載

 

テレビで時折流れる国会本会議場のニュース映像。たいてい橋本総理大臣の演説場面か、本会議場全体の風景。この映像に予算案とか法律案についてのコメントがニュースキャスターによって説明されるだけである。この本会議というのは、短ければ5分で終了するし、長い時は4、5時間かかることもある。閣僚の演説を長々と聞いたり、同じような内容の各党の代表質問を硬いイスに座って聞いていると不覚にもウトウトと眠ってしまいそうになるのであるが、マスコミカメラマンにいつ狙われているかわからないので、何とかして起きていなければならない。そんなことあたりまえなことなのだが、本音を言うとけっこう辛いものがある。
 
そこで、ロングランの本会議中に私は、他の議員の動きを監察することによって気を紛らわせ、眠気と闘っていることがある。するといろんな新事実が発見できた。

 各党の執行部(幹事長、国対メンバー、各委員会理事クラス)は、本会議場のあちこちの席を移動しながらしきりと小声でうなずきあったり耳に顔を寄せてヒソヒソ話をしている。いわゆる根回しというやつだ。本会議中なら全員が一ヵ所に集まっており、話を調整しやすいというわけ。多忙な国会議員ゆえ、なかなか根回し相手をつかまえられない。本会議中にこそ、政治の方向性が固められるということだろう。

 それから、イビキをかいて豪快に寝ている議員は、いつも同じヒト。本人の名誉のために実名は伏せておくが、共産党を除く与野党に数人いる。みっともない。

 それから、私のように、新聞のスクラップ記事を読んだり原稿を書いたりしている議員も意外と多い。これは、唯一他人との接触をたって(電話や接客がないということ)集中して勉強できる場所が本会議場の自席だということである。

 ヤジを飛ばす人はだいたい決まっている。 参議院では、自民党なら中島眞人(山梨)鴻池祥肇(兵庫)西田吉宏(京都)。民主党は角田義一(群馬)。公明は益田洋介(比例)自由党は都築譲(愛知)。いずれも各党の国対か議運の先鋭的なメンバー。この数名が、時には演壇上の閣僚席に向かって時にはお互いに丁々発止のヤジの花を飛ばすことによって、議場にカツを入れるのである。(笑いも時には起こす)

 私がいつも尊敬しているのは、自民党の板垣正先生(比例)。背筋をピンと伸ばし、深くイスに腰かけ、正面をしっかりと見据えて微動だにしないこと数時間。姿勢とマナーの良さでは右に並ぶ人はいない。

 それにしても国会議員たる者、ヒトの話を聞く時は、ちゃんと耳を傾けなきゃいけないよね。これこそ倫理問題の核心じゃない?

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