馳浩の永田町一筆勝負39
新年のあいさつ廻りは修業そのもの
平成10年1月10日掲載 
 国会議員は何といっても新年のあいさつ廻りが命。とりわけことしは7月に参議院選挙を控えており、改選期の議員は地元にはりついて汗をかいている真っ只中。

 松の内に自分の後援会主催で互礼会や賀詞交換会を開いてもらった後は、ひたすら選挙区内の有力者に顔を見せまくり『ひとつ今年はヨロシクお願いします』と礼を尽くさなければならない。例年より早く1月12日には通常国会は開会となるので、与えられた時間は直前の一週間のみ。平均的な議員はどのようにしてこの一週間を有効利用しているのかをお伝えしておこう。

 まず1日目はマスコミ廻り。地元新聞社、テレビ局は何よりのお客様。そりゃそうだろう、あいさつに行けば、年頭の抱負を記事にしたりニュース映像として流してくれる。その時さりげなく所属政党や自分の政治的スタンス、実績をアピールしておけば、タダで県民の皆様に広報活動できるのであるから、こんなに効率的なことはない。次に行くのは政治献金をいただいたり、票をたくさんいただいている有力企業の社長や業界団体の幹部のところ。マメにこういうあいさつをしておくことによって『誠実さ』『几帳面さ』『行動力』を売り込んでおくのである。このマメさを欠くと『あいつは選挙の時ばかり頭を下げに来て、ふだんはちっとも顔を見せない薄情な奴だ』と吹聴されることになってしまう。また、地元だと『あいつの所に行って俺にはあいさつに来ない』とのやっかみも言われ易いので、もらさず日程を消化しなければならない。

 そして極め付けは市町村の首長、議会、関係団体、党支部長廻り。石川県だと41市町村あるので、3日間ほどで全部を廻れば良いだけであるが、群馬県や岐阜県は90を越す市町村があるし、ましてや北海道のような広いところはもう全部廻り終えるのに一週間はゆうにかかってしまうので、まさに体力勝負。年末のうちに秘書が連絡しておいてくれて、市町村長は関係者を庁舎に集めて待っていてくれるのである。そこで年頭のあいさつと国政報告をするわけである。だいたい1ヶ所20〜30分。それを(石川県でさえ)41回同じ話しをくり返すことになるわけで、これこそ修業と言わずして何と言おう。

 しかし、そうして全市町村を廻ることによって、土地の実情が分かり、人脈が広がり、生の声に耳を傾けることができるわけで、政治家として成長させられることもあり、得な部分でもある。胸一杯ふるさとの空気を吸い込んで、いよいよ国会開会日を迎える、というわけだ。さぁ、気合を入れ直してがんばるゾー。

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