政治の駆け引きで

サッカーくじ先送り・・・

 <12月6日デイリースポーツ掲載>


 スポーツ振興投票実地法案(サッカーくじ法案)と市民活動促進法案(NPO法案)が、与野党の政治的駆け引きの材料として人質になり、またしても次期国会への先送り(継続審議)となることが固まった。ガッカリ、である。

 この二法案と、議院証言法(証人喚問の際にTV生中継できるようにする内容)を合わせた三本は、議員立法であり前国会から継続審議案件だった。何としても今回の臨時国会中に参議院において可決、成立させたかった『良識ある』議員の間からは怒りの声が上がっている。審議もせずに棚ざらしにしておいて、日程が詰まってきたからといって、他法案と絡ませて取引材料、人質にした揚げ句にお情けで継続としたかったからである。

 もともと、国会審議というのは、閣法(政府提出法案)が優先される。それも予算絡みの重要法案が重要視される。ということは、ほとんどの閣法が成立するまでは、議員立法の審議には入らないという不文律がある。

 ただし、水面下では日程協議ぐらいはしておいて、会期末にはギリギリ間に合うようにしておくのが、国対政治の駆け引き。

 今国会では、財政構造改革法と介護保険法の成立が視野に入った時点において、サッカーくじ法とNPO法については修正の上、成立させようという了解がほぼできていた。

 サッカーくじについての主な修正は二点。収益の中から国庫納付する割合を、二分の一から三分の一に圧縮し、より一層スポーツ新興のための予算を多く確保できるようにしたこと。二点目は、教育上悪影響が認められる場合、文部大臣の権限によって停止できるようにしたこと。

 NPO法についても二点。名称を、特定非営利活動促進法に改め、認証の基準に、宗教団体や政治団体と共に暴力団の参入を禁ずるとしたこと。

 この修正点に難クセをつけてきたのが野党である平成会。NPOへの行政の監督を強め、かえって市民活動の促進を阻害する、というのである。しかし本音は別のところにある。

 与党賛成法案である『預金保険法』成立を妨害するための人質としているわけである。 金融システム安定、預金者保護のために公的資金導入の道を開くこの法案に反対している野党は、何の対案も示さず、ただ反対を主張するだけ。自らの主張を声高に主張するために、他法案を駆け引き材料として審議にも応じず、難クセをつけている、というのが真相。つまりサッカーくじ法もNPO法も『預金保険法』のとばっちりを受けているということ。こんな駆け引きをしているようでは、政治への不信感も広がるばかりなのに。与野党の執行部は、審議催促こそ目指すべきだ。
                     
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