健康の総合政策・リハビリの対策

志苫議員の訴えは国民全体のもの

<10月18日デイリースポーツ掲載>


 参議院予算委員会の各党代表質問は、予定調和?の中で静かに進行していた。野党の元気のなさは追及不足の審議内容を見れば明らかであり、傍聴していた私も思わず、『しっかりせいよ!』とにわか応援団の一員に。

 生煮えの論議が続く中、オッと思わせる質問を展開して耳目を集めたのが社民党の志苫裕(比例)議員。

 質問席に座るにも車イスで移動。同僚議員と衛視の介助を得て体を動かす姿に委員会内は静まり返った。そして第一声が
「今日は諸般の事情により質問通告をしておりませんが、総理ならびに関係大臣にご答弁いただきたい」
ふつう前日までに質問内容を通告しておくのが慣例なだけに、各大臣は座り直して身構える形となった。我々も耳をそばたてることに。
「私は病に倒れてはや2年。ようやく家族や周囲の支援のおかげでここまで持ち直しました。」
そう、長らくの病欠からやっと予算委員会で質問できるまで回復したとのこと。
「小泉厚生大臣に質問したい。あなたは郵政改革に熱心だが、それよりも国民の健康増進政策にこそもっと取り組んでもらいたい。病気の予防のための医学、あるいは健康を保つ政策を総合的に行えば、病院づけ、薬づけにならなくて済むではないか。小手先の医療保険政策ばかりではダメだ。それから私はリハビリのおかげでここまで回復できたが、リハビリは保険適用の範囲外だから、医者はまるで『枯れ木に水はいらない』という態度。私は話せない、つかめない、歩けない状態の中で、人間として何と残酷なことだろうと感じました。私のような障害者がもっと身近でリハビリ治療を受けることのできるような地域医療の充実が必要ではないですか。小学校には空き教室も多いと聞きます。私たち高齢者のこんな姿と接することも教育の一環と考えます。ぜひ空き教室をリハビリ施設として改修して使わせていただくことはできませんでしょうか、文部大臣。」

 これに答えて小泉大臣は
「志苫議員のご意見には全く同意見です。医療保険財政の赤字解消策ばかりではなく、まず、国民が病院にかからなくても済むような健康政策について取り組むことをお約束します。また、リハビリ対策についても皆さまのご不自由なお姿を十分理解して取り組みます」

 町村文相は
「現在でも空き教室の福祉施設への転用については積極的に推進しておりますが、今後対応の窓口となる各市町村しも連携を密にして一層の転用を図りたいと思います」と答弁。

 病院にできるだけ行かない。薬も必要な分だけ使う。リハビリは身近な地域社会の中で。志苫議員の訴えは国民全体の訴えであろう。

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