みっともないぞ!
野党のゲリラ戦術

<10月4日デイリースポーツ掲載>


 9月29日、第141回臨時国会が開会した。第二次橋本改造内閣にとっては、のっけから政治倫理問題をかかえて波乱の船出。我が参議院においては前国会から4つの継続審議あつかいの法案(介護保険法案、NPO法案、サッカーくじ法案、議院証言法案)が積み残しのままであり、十分な議論を尽して早期に成立させなければならないところ。

 ところが、この参議院の役割や存在価値をないがしろにするような事態が生じているので2点記しておきたい。

 1つめは、衆議院での野党三党連合の委員会審議拒否作戦が参議院にまで及んでいるということ。衆議院では泉井証人喚問と、それに連動しての山崎拓代議士の喚問を要求しており、予算委員会の現場でこの問題が処理されない限りは全ての委員会での審議を拒否するという作戦に出たのである。

 この新進・民主・太陽党の国会対策方針が参議院にまで及び参議院も各委員会の審議を拒否してしまえとの指令が出されたのである。

 これっておかしい。国会は衆参の二院制であり、両院は共に独立しているはず。参議院は衆議員に対して均衡・補完・抑制の役割を持っている。良い法案なら再確認し、足らざるところがあれば補い、出すぎがあれば引っこめるのが存在理由。

 なのに参議院の野党側(平成会、民主党、新緑風会、太陽党)はこの小学生でも知っている原理原則どこ吹く風で、衆議院から命令されるがままに「ハイハイ」とばかりに素直に従って参議院の委員会審議を、全てストップしたのである。これが「衆議院の横波」を受けてオロオロする参議院の現状。誠に嘆かわしい。

 2つめはもっとみっともないゲリラ戦。

 委員会審議拒否の作戦とは言え、その内容が参議院野党三党間で徹底されていないのである。

 10月2日に、公報(院内の新聞)で「内閣委員会」のかんばんが掲げられていたにもかかわらず、理事間の調整がつかずに開会時間を過ぎても開会されず、ついには「取りやめ」になってしまった。これは「新任の理事を補欠選任するための委員会は開会しても良いが、それ以上の国政調査や大臣、政務次官のあいさつをさせない」という野党の基本方針が徹底しておらなかった証拠。内閣委員会の与野党理事間の現場では「大臣あいさつぐらいさせようや」となっていたのが、急きょ野党三党上層部から「それはダメ」とストップがかかり、当日になってもめて結局取りやめるというみっともない展開になってしまったというわけ。こんなゲリラ的混乱を起こすぐらいなら、最初っから共産党みたいに「喚問は喚問で実現。審議は審議で促進」とスジ論を通せっ、て言いたい。

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