「以徳報恨」の姿勢、う〜ん台湾って”深い”

<9月27日デイリースポーツ掲載>


 台湾(中華民国)を訪問してきた。自由民主党青年局の一員としてである。

 日本の国は中国と国交を回復して以来、「一つの中国」という姿勢を取っており、中台関係に対しては「内政問題」との見方を従来から示している。
であるだけに、政府や政党の要人の公式な従来は控えており、これまでは自民党の青年局が毎年若手議員が訪華することによって人脈のパイプと信頼関係を築いてきた。
私もその一員として3度目の訪華。

 「日本って冷たいよネ」の発言がでたのはとある関係者との昼食会で。
実は台湾では大量輸送、高速交通網の整備の一環として、新幹線を導入しようとしている。 鉄道整備と共に車両の国際入札で、日本の態度が冷たいというわけ。
どこと比べているかというとフランスやドイツらしい。

 視察のために訪問するとフランスなどは丁重にもてなしてくれて運輸大臣などがパーティーに顔を出して「ヨロシク!」と働きかけてくる。日本の場合は、それは民間会社同士の問題だからということで、入札には国としてノータッチという態度。

 台湾としたら、地形的にも似ていて(トンネルが多いということ)技術力も高い日本に心中期待しているのに、熱意、誠意が感じられない、との主張らしい。外交努力が足りないということか。

 立法院(日本でいう国会)副院長の王金平氏とは私は2度目の面会。
「おや、おとといテレビであなたのプロレスの試合見ましたよ。はやく台湾でもやってくださいよ」との激励をいただく。
 ちょうど日米防衛協力のガイドライン見直しの最終報告がある前日のことだったので、その話題についてのコメントを求めると、開口一番「私たちにも自尊心がある。日米安保条約は確かに北東アジアの安全保障に果たす役割は大きいが、ガイドライン見直しは日本側の問題だ」との明確にして毅然とした態度。
おそらく防衛については大陸側に対して十分警戒していると共に、相当の軍備を台湾側も整えているという自信の表れなのだろう。

 連戦副総統には、戦後の対日姿勢を改めてうかがうとともに、今後の日台関係に期待するコメントをいただいた。
「戦後我々は、蒋介石の主張する『以徳報恨』(恨みに対して徳で以て応じる)の姿勢を日本に対して貫いてきた。それはこれからも変わらない。と同時に我が政府は一度も大陸(中国)の支配下に入ったことはなく、それも今後変わらないことを知っておいてほしい。できる限り日本とは若者を中心に文化やスポーツの交流をし、相互理解を深めてもらいたい。とりわけ台湾から日本へ行く留学生をヨロシク!」。

 とのこと。うーん、台湾って深い。

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