人事の一日悲喜こもごも

<9月13日デイリースポーツ掲載>


 9月11日。第二次橋本改造内閣スタートの日。朝から永田町は浮足立っていた。

 党本部では国際漁業問題小委員会。委員長は佐藤孝行氏。そう、初入閣が取り沙汰されている当事者。この日の議題は、日韓漁業協定見直し交渉についての意見交換。日本海側の漁民は、韓国船の度重なる領海侵犯や違法操業にガマンの限界にきている。日本側の主張する方向で見直しがまとまらなければ、現協定の破棄を通告すべしとの声が高まっており、その党としての態度を最終決断する会議。ひとしきり我々委員の意見を聞いた後、おもむろに佐藤委員長が発言。

 「実は昨晩、次の外務大臣就任が噂される小渕(恵三)さんと、ある勉強会で一緒でした。韓国側が約束を守らなければ現協定を破棄すべしとの意見では一致しました。ただ交渉が続いている段階で破棄をちらつかせるわけにもいきません。外交のむずかしいところです。しかし期限を当初より9月11日としておりましたので、自民党としては今日の交渉で方向付けがなされなかった場合には破棄をする、ということで意見をとりまとめたいと思います」と発言。

 言外には、新閣僚の小渕氏と連係を取りながら韓国との交渉に臨むという意欲がありあり。ということは、佐藤氏は初入閣に自信マンマンなのか?と推測。それを受けて鈴木宗男氏も「佐藤さんもいろいろ身辺が忙しくなるでしょうが、漁民の意を汲んで、どうか交渉をまとめて下さい」と激励。この鈴木氏も入閣候補ギリギリなだけに、いつになく穏健な発言に対して「やっぱり入閣組になると慎重だなぁ。それにしても二人共嬉しさをかみ殺している感じだなぁ」との外野席の声。

 夕方、健康センターにトレーニングに行くと高村正彦外務政務次官とバッタリ「高村先生チャンスだったのに残念だったねぇ」の声に「いやぁ。猟官運動しようと思っていた一番大切な時に、パナマに出張に行けって言われて今帰国したところなんだよ。おかげでさっぱりだよ」。そう、高村さんの所属する旧河本派は一人も入閣できなかっただけに、納得いかない様子。

 夕方。石川県(私の選挙区)から唯一の入閣者、瓦力建設大臣の就任祝賀会が、県知事はじめ県内市町村長や県会議員出席のもとに開かれた。瓦氏は長い間、次こそは再入閣と言われながら、ここ5年間ほど見送りされてきた悲哀組。なだけに、防衛庁長官に続く建設大臣という要職への就任には、県民の期待が大きい。私もお祝いの一句をプレゼントして、能登半島の活性化に尽力してもらうよう激励してきた。

 「満月や能登の夜長を待ちわびて」
 さぁ、新内閣の仕事ぶりに注目である。

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