都市づくりは利用者本位で

<9月6日デイリースポーツ掲載>


 先週はプロレスの巡業で北海道をバスで回り最低気温10度を体験して「秋だなぁ」と一人しんみりしていたのに、今週は北九州(福岡、大分)の旅。あっという間に気温30度の世界に逆戻りしてしまい、汗びっしょり。参議院運輸委員会の視察であるため公務。ということは当然背広上下にネクタイびしっと締めてよそ行きの顔をつくっての苦行の旅。

 この委員視察は年2回行われる。衆議院で予算案を審議していて参議院は手持ちぶたさとなる2月と、臨時国会直前の9月。別に法律で規定しているわけではないが、慣例でとにかくどの委員会もそうなっている。

 行き先は、これまた慣例でだいたい委員長の出身地となっている。今回は泉信也委員長の地元福岡県。泉さんは九大を出て運輸省に入り、5年前に自民党比例代表6位で初当選したバリバリの運輸族で、この九州管区本部長を務めたこともある。自民党の比例代表で当選しながら、なぜか今は新進党であることに私は少々理解できないのだがー。どうも元運輸大臣を務めた奥田敬和代議士系列であるため、4年前の自民党分裂時にやむなく離党した。ということらしい。

 泉さんはこの7月に委員長就任を果たし、晴れて故郷に運輸委員会一行を率いて錦を飾ることになった次第。何せ来年改選期なのだから、われわれ委員も視察先では泉委員長をヨイショしまくるわけだ。「さすが委員長のご地元!」とか「予算要望は泉委員長にお任せを!」とか。こういうのを以心伝心、ていうのかな。

 さて福岡ドームの隣、船の形をしたシーホークホテルの16階に宿泊。窓の外を見るとウオーターフロントは埋め立て地に企業のビルやマンションが林立し、海側に開発の波が進んでいることが一目で分かる。プロレスの試合で来た3年前とは隔世の感。人工の砂浜や高速道路が建設され、コンビニまで出来ている。ここで1つ疑問が出たので、やはり地元福岡出身の渕上貞夫議員(社民党、比例)に質問。

 「都心部との交通アクセスはどうなってるんですか?」

 「途中まで地下鉄で、そこからこの海浜地区まではバスだよ」

 「どうして道路の拡張工事してバス路線を充実させないんですか。ご老人や子供たちには乗り換えがあって不便ですよ」

 「そういう約束になってんだよ。だってせっかく造った地下鉄がもうかんないだろ。道路だって拡充するには土地取得が大変だし」

 とのこと。これって利用者本位の街づくりじゃないよね。道路建設、交通体系整備、都市づくりの三位一体の行政が必要であることを痛感した次第。

一筆勝負INDEXへ