お母さん!
学校は託児所じゃないんだよ!

<7月26日デイリースポーツ掲載>


 「学校の現場の大変さを文部省は分かってくれない」「一体だれが生きる力や目標を教えてくれるのですか」「何のために生きるかを先生は教えてくれない」・・・・

 私の目はテンになった。
 実は先週、プロレス巡業の合い間を縫って山口県岩国市で教育フォーラムのパネリストになり、教育について語ってきた。その時、会場内の聴衆から寄せられた意見が冒頭の「くれない族」発言である。

 私は参議院文教委員を2年間務めていた。質問回数も時間も内容も群を抜いて多い。元国語の教員として、現役のプロレスラーとして現場の声を文部省に届けるため、教育行政を厳しくチェックするために日々調査、活動をしている。その一環として岩国でのフォーラムに参加した。まず、文部省の方針として学校五日制(2002年から)の話しと、家庭、学校、地域社会それぞれの教育的観点からの役割分担と連携のあり方について説明したところ、帰って来た会場内のお母さん方の不平不満が「くれない」パレードだったのだ。

 彼女たちのの言い方はこうだ。「お母さんは専業主婦ばかりじゃない。生活費を稼ぐために8割方働いてます。勝手に土曜日も休みにしないで下さい。だれが子供の面倒見るのですか」「どうせ日教組の言い分でしょ。先生もサラリーマンと同じように週休二日欲しいのよ」「教科ばかりでなく、命の大切さや生きることの尊さ、人生の目標を教えるのが学校教育でしょ。週五日制になってカットされるカリキュラムの分は、だれがどうやって補うんですか」「結局金持ちの子だけが塾に通って学力をつけるんです。不公平」

 日ごろご主人に聞いてもらえないうっぷん晴らしか、はたまた国会議員に文句を言えるチャンスと思ったのか言いたい放題。ま、フォーラムに集まっていた200人ほどのお母さんは教育に熱心で、かつPTAの役員を引き受けたり町内会の活動に積極的に参加している人ばかり。教育に無関心な人や子供のいない夫婦を地域活動やボランティアに参加してもらう受け皿つくりも同時にやらないと、結局正直者がバカを見ることになってしまうと主張したかったのであろう。

 それにしても、国策としての義務教育は万能ではないことを理解すべきである。そして子供にとって大人はすべて先生であるとの認識も必要。国が何でもやってくれるのではないのだ。一人一人できる範囲で家庭や地域社会で子供とともに学ぶ姿勢を持つことが教育の原点。お母さん!学校は託児所じゃないんだよ!先生はベビーシッターじゃない!

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