霞が関の夏は陳情団のラッシュ

<7月12日デイリースポーツ掲載>


 日本の夏の風物詩と言えば、すいか、盆踊り、金鳥蚊取り線香、と相場は決まっている。

 私も国会議員になるまでは、海水浴に行って日焼けしたり友人たちとキャンプに行って大酒飲んだりと人並みの楽しみ方をしていたものである。ところが、国会議員にとっての7月、8月とは国会開催中以上の多忙を極める季節であることがよーく分かった。

 少々エラくなって役職付になったりすると視察と称して海外へ行ける(外遊)のであるが、私のような1年生議員は、何はなくとも陳情団の対応で夏が過ぎて行く。

 なんたって選挙区のみなさんにとって、8月末の国家予算の概算要求は、地元のあらゆる事業推進のためになくてはならない大きなヤマ場。個別の事業案件から、国全体としての事業総予算の確保に向けて、それこそ目の色変えて永田町と霞が関をかけずり回るのだ。

 私の地元、石川県にも、国の予算をいただかなければ絶対前に進まない事業は山積み。

 例えば、能登空港の建設、能越自動車道路の開通、北陸新幹線の整備。細かい事業で言えば、ダム建設、下水道整備、港湾整備、農村整備などなど、建設、土木事業がめじろ押し。
 これらの事業に予算をつけてもらうために大挙して上京してくるのが陳情団なのだ。

 彼らは、知事、市町村長、議会関係者、業界団体の代表、関係地域の町長や婦人部のみなさん。それこそ一個連隊となり、石川県東京事務所の職員(もちろん県庁からの出向組)の道先案内の下、関係官庁や自民党本部や国会議員の事務所に要望にやってくるわけだ。

 この炎天下、背広を着て、Yシャツを汗まみれにして、少なくとも30ヶ所を訪問して頭をさげまくるのだ。官庁に行く時は、我々国会議員が同行すると、対応する局長や部長の態度がコロッと変わってバカ丁寧になったりするので、地元有権者の手前、点数稼ぎのために張り切って名刺を配りまくるのである。とりわけ今年は橋本総理が強力に進める財政構造改革の1年目。当然予算編成も厳しくなる。その中で少しでも多くの地元要望の予算獲得のためには、愚鈍なまでに陳情団の一員となってひたすらお願いしまくるわけだ。

 私なんてプロレスで鍛えた肉体のおかげで日射病でダウンすることもなく先頭を切って(半ば威嚇しながら)大声で「よろしくお願いします」と頭を下げ、担当者と握手をするのだ。しかし、それがどこまで効果があるかはいまだ確信はない。なぜって?だって同様の陳情団で霞が関界わいは山の手線並みのラッシュなのだから。もしかして役人の仕事の邪魔なだけだったりして・・・・・・。


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