容認できん!密室談合人事

<6月28日デイリースポーツ掲載>


 「私は運輸委員会の理事になるよりも、文教委員会の委員として下働きしたいんです。サッカーくじ法案の成立も見届けたいし、元教員としてどうしても教育問題に継続して取り組みたいのです。お願いします」

 国会が閉会しても、水面下では永田町は一年中動いている。臨時国会を秋にひかえたこの時期に注目の的となるのは人事。参議院内においても各種委員会の委員人事については慣例に従って国会最終日に議長指名によって決定したものの、その他理事、委員等の人事については今が盛りの調整中なのである。

 冒頭の私の発言もその一つ。実は党内で希望を募り、ムラ(旧派閥)の代表者(副幹事長レベル)が調整をすることになっている。
 我がムラ(旧三塚派、参議院では清風会)の調整役、山崎正昭議員(福井)から電話で以下の打診があった。

 「馳さん、一年生議員は今度から三年目に入るので、全員各委員会の理事になってもらうことになったんや。上から順番に当てはめていったら馳さんは運輸委員会の理事になるんや。何とかOKしてくれんかいのぅ」

 この問いかけに対する私の返事が冒頭の一言である。私の主張はこうだ。

 各議員が所属委員会についての希望を出し、それが調整されるのは当然のことと思う。しかし、役職付きにするために順番(主にムラの力関係や年功序列による)に当てはめて行ったあげ句に希望とかけ離れた委員会に所属することになるのは納得できないのである。別に役職なんていらないから、私は文教委員として引き続き取り組みたいというだけ。
 私の頑固な主張に山崎先生は「ほんならもう一回調整してみるわ」と答えたものの、その30分後にはさとすような声で再度のお願いのTEL。

 「馳さん運輸委員会の理事で頼むわ。同期の中であんた一人だけ理事に入らないということはできんのや。サッカーくじも次期国会でなんとかなるだろうから、次の一年間は運輸でがんばってもらえんかな。この通り。お願いしますわ」

 尊敬する先輩のお願いにこれ以上反抗すると、山崎先生の立場にも影響するので私は渋々「先輩の命令とあらば、従います」と言って引き受けることにした。

 まず役職ありき、ムラの力学、年功序列という密室談合人事は私は容認できない。各自の希望で配属され、同時に適材適所については執行部(幹部)が大所高所から判断すればそれで良いのではないかというのが私の考え。
 今回は先輩を立てて引き下がったが、来年はもう少し抵抗してみようと思う。何たって人事決定のプロセスが大切なんだから。

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