ギレンと票と行革、
やっぱり行革だよね

<6月7日デイリースポーツ掲載>


 地元事務所の秘書から電話が入った。
「有力後援者のSさんから、『どうして馳議員は郵政懇話議員連盟に入会していないんだ。小渕恵三先生が会長で、森喜朗先生も顧問になっている。郵政事業に理解を示して応援してくれていて、我々も選挙の時にはこのギレン(議員連盟のこと)に入会して下さっている先生にはとりわけ熱心に応援して票を出すようにがんばっている。馳先生にも入会してもらわないと、私の立場もあるからこまる』と連絡がありました。どのように対処致しましょうか」との用件。
 実はこのギレンという集まりが我々国会議員にとってはけっこうやっかいなのである。

 党派別であったり、あるいは超党派の議員が、ある政策目的の下に集まって連盟を結成し、予算獲得や新しい制度作りや業界団体の権益維持や、政策形成のために活動するのである。もうおわかりのように、「郵政懇話議員連盟」への入会を催促してきたSさんとは私のいなかのとある特定郵便局長。この行財政改革の断行が迫られる時期に、Sさんたちが要求するのはもちろん「郵政三事業民営化」の阻止。Sさんたちは表向き特別国家公務員の身分なので派手な選挙運動はできないが、その豊富な地域人脈を動かして票の取りまとめをするのなんて朝メシ前の実力者。つまり保守系政治家とは切っても切れない間柄、というわけ。私とは個人的に(政治家になる前から)10年のつきあいがあるので、とりわけ一目置いて下さっているのである。

 Sさんが心配しているのは、私が自民党議員なら当然入会しているはずのギレンに入っていないことと、二年前の自民党総裁選で小泉純一郎現厚相を強力に推薦していたこと。何せ小泉さんときたら、ガチガチの郵政三事業民営化論者なものだから、その子分の馳もそうに違いないと疑心暗鬼になっており、さらに行革のムードが追い討ちをかけているものだから「ヤバイ」となって連絡してきたのである。私は秘書にこう命じた。

 「とりあえず、他意はありません、と伝えて下さい。ギレン入会の申し込みは無限にあり、私は現在60ほど入会しています。その月会費の合計20万円が、毎月私の歳費からさっ引かれています。これって結構ふところ具合にひびくのよ。郵政うんぬんじゃなくて、あらゆるギレンから一歩引こうと考えていたところなので、他意はないんですよ。それ以上にSさんに”どーして”とつっこまれたら、私が直接お会いして説明しますから。私が小泉先生を尊敬していることも事実だしね」

 ギレンと票と行革。やっぱり行革だよね。

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