選手の汗に報いる
『サッカーくじ』
よろしく!!

<5月24日デイリースポーツ掲載>


 オリンピックの意味は、スポーツによる戦争、統一ルールによる平等性、国別対抗の3点に集約される。闘争本能とか美意識の優位性を競い合うムーブメントは、人間が生まれながらに持っているエゴ、自己主張である。

 それを考えると、自国の優位性を世界に誇示し、心の中にあるストレスや不満を発散させ、何よりも肉体を酷使して汗を流すことによって努力の代償を得、感動を全世界が共有しあうことは、国民生活に必要不可欠なことと考えなければならない。

 そこで、サッカーくじによるスポーツ振興財源の確保策である。私も13年前、ロサンゼルス五輪に日本代表として参加した時、ずいぶんと悲哀をなめた経験があるので、それを紹介し、サッカーくじを理解してもらうための一助としたい。

 メダル候補者のようなトップアスリートは国から強化費が出るし、就職の時も国体要員であったり企業から宣伝要員として三顧の礼で迎えられ、生活基盤も安定している。しかし、出場するのが精一杯の私などは、練習場所、練習パートナー、栄養費、生活費などすべて自分で工面しなければならなかった。23歳、いなかの高校教員であった私が仕事をしながら以上の条件をクリアして出場するまでに費やした借金は2百万円を優に超えていた。

 ロサンゼルスで日の丸を胸に力の限り闘い、予選で敗れはしたが出場できた自信とプライドこそが大きな貯金となって今でも残っているが、現実の借金を返済するには3年ほどかかった。いくらオリンピックに国民が期待をし、競技者個人が思い入れを持っていると美辞麗句を並べてみても、実際にお金はかかり、そのお金は選手や関係者が頭を下げまくって工面しているという現実があるのだ。

 今回議員立法で国会提出されているサッカーくじ法案(スポーツ振興投票制度法案)はこうしたスポーツ関係者の叫び声によって日の目を見ようとしているのである。

 こどもの育成に悪影響を与えるギャンブルなんていけませんとか、神聖なスポーツを賭け事の対象にするなんていけませんというわかったような批判をすることはおかど違いもはなはだしい。スポーツ界に金はないのだ。

 サッカーくじは1枚百円。試合前日までに投票終了。当選確率も払戻金割合も宝くじ並み。民間からの小口寄付として一人でも多くの国民にくじを買っていただき、まさしく生涯スポーツの振興や選手強化、施設整備、指導者支援のための財源とするのである。

 金をかけてスポーツをより一層振興するのではない。選手がまじめに一生懸命汗を流しているからこそ財源を生み出す工夫をするのだ。

一筆勝負INDEXへ