政治を身近に

国会議員ユニット
GI!NS誕生

<5月17日デイリースポーツ掲載>


 五月雨のそぼ降る渋谷のライブハウス「ボス」でGi!nsは誕生した。

 それは1997年5月15日の夕刻。かび臭い大演説や堅苦しいパンフレットではなく、もっと身近な親しみの持てる方法ーそう、ロックやポップスの軽快なメロディーに乗せて彼らは政治のメッセージを発信したのである・・・。

  なんて書きだすといかにもポプ・ディランかビートルズが出現したような大層なことになってしまうが、とにかくファンキーでハッピーな国会議員が2人、ユニットを結成してデビューしたのである。彼らの名前は山本一太(群馬・39歳)と 林芳正(山口・36歳)。ユニット名は議員ズを横文字にしてGi!ns(そのままやんけ)。

 この国会終盤の多忙なさなかに、なぜに彼らはフツーの政治家がやるような資金集めのパーティーではなく、赤字必至のライブ・トークショーを行い、オリジナル曲5曲も用意して世の中に打って出たのか。彼らのメッセージは世間に対してと同時に、永田町という内なる世界に対しても向けられていることを知らねばなるまい。

 現在の日本の政治課題は何なのか。無党派層に自由民主党の政策をいかにして伝えようか。無関心層の多い若者たちをどうやって政治に参加させようか。国民の視線になってこの3つの課題を考えていくうちに、彼らは彼らなりの感性と才能を発揮することになった。
 山本氏は国連で働き、UNDPの職員であった。林氏はケネディスクールに学び、ウィリアム・ロス上院議員の下で秘書を務め、日米交流プログラムの議員立法も成立させている。共通点はアメリカ議会やシンクタンクに人脈を持っていることと、既成の政治手法に通じていること。なぜなら2人の父君は故山本富雄農水相であり、林義郎大蔵相。2人とも秘書官時代からその日本的政治に問題意識を持って育った故に、将来を見つめる目は厳しく、何よりもビジョンを持っている。

 族議員、政官業の癒着、人事の密室化、派閥、国対政治の功罪。橋本首相の下で六大改革が行われようとしている今、Gi!nsは音楽によってそのメッセージを伝えようとしたのである。彼らの真意を誤解した先輩議員によって心ないいじめに遭い、開催が危ぶまれもした。しかし捨てる神あれば拾う神あり。頭の固い古参議員との間に立って仲立ちをする中堅議員のおかげで、ライブは無事開催。

 ステージ上の彼らの発散するエネルギーに触発される観客。決して国民は無関心ではなく、それぞれに意見を持ち、それを共有したがっていたのだ。時代にブレイクスルー(突破口)するGi!nsに、永田町においても期待したい。

Gi!ns活動報告


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