レバノンの街に再興の灯が・・・

<5月10日デイリースポーツ掲載>


 ゴールデンウイークにレバノンを訪問してきた。と言っても国会議員にありがちな国費を使っての外遊ではなく、自費である。
 日本・レバノン友好議員連盟(森喜朗会長)の一員として訪問した目的は二つ。

 内戦の終結したレバノン復興支援のためのハイレベルな外交関係を二国間で築くこと。
 ODAを活用した有償資金協力、技術協力、民活による投資を促進するための人間関係を築くことである。
 もう一つはレバノン当局に身柄を拘束されている日本赤軍メンバー5人の引き渡し要請。
 もちろん、レバノン国の司法手続きが終了してからの速やかな身柄引き渡し請求である。

 中東のパリ、中東のスイスとも呼ばれたレバノンは、内戦が18年間も続き、現在では戦闘が終結したとは言え国が崩壊状態になってしまっているのではと心配しながら日本を出発した。
 その心配は全くの心配でしかないことが、到着翌日の朝の二つの出来事でわかった。

 朝7時。トレーニングウエアに着替えてベイルート市内のジョキングに出かけた。
 車線の引かれていない道路に交通法規は無意味のようで、けたたましいクラクションを合図にしてでこぼこ車が走り回っている。通学途中の中高校生は、ヘッドホンステレオに耳を傾けてリズムをとる者がいたり、友人同士で笑いながら仲良く歩いていたり。
 市街戦の激しかった地区のビルはいまだにガレキの山と化し、残ったセメント壁には砲弾の生々しい跡が。しかしその穴からスズメが顔を出していたり、なんとか建っているビルの一角が野菜や果物、パンなど食料品販売の商店や喫茶店になっていたり。かつての官庁街や金融街はソリデール社という民間会社が大規模都心整備事業を行っていて、街中いたる所が工事現場。国中が再興に向けて生き生きと動き初めており、多くのビジネスチャンスも転がっていた。すれ違う女性もきれいだし。

 二つめはホテルでの朝食時、日本からの観光グループに出合ったこと。彼らはベッカー高原のバールべック遺跡やジェイタ鍾乳洞などの自然とベイルート市内の観光にやって来たのだと言う。「先進国に大挙して行くよりも、六千年の歴史と古代遺跡の豊富なレバノンのような国こそが旅のダイゴ味を感じるのよ」と胸を張る。

 今回の訪問で、ヘラウィ大統領から「日本からの旅行者はベイルート空港で入国ビザを取れるように致します」と即決していただいた。旅行好きの方は、安心してレバノンの復興状況と古代遺跡を楽しむために気軽に訪問されてはいかがだろう。


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