ぺルー人質事件

日本マスコミの無節操ぶり

<4月29日デイリースポーツ掲載>


 外務省・川島局長の発言に一同注目

 ペルー人質事件が、武力突入により解決した日の朝、さっそく自民党本部706号室において国際テロ対策小委員会の会合がもたれた。
 外務省から報告がなされた後、各議員からの質疑、意見交換がはじまった。  参院の小野清子議員(東京)の発言。

 「日本のマスコミ報道はなんとかならないものですか。テレビのテロップやキャスターの発言では、日本人全員無事救出、と連呼していましたけれど、人質は日本人だけではないのですよ。突入した特殊部隊をはじめとしてペルー人人質の中からも犠牲者が出ているというのに、日本人だけ無事でしたと喜んで報じている場合ではないでしょう。何よりこの事件は日本大使公邸が占拠されていたのですよ。私たちは地球人の一員として、日本さえ、日本人さえ良ければそれでいいとする社会の風潮はいましめられなければならないと考えています。党としてもマスコミ機関に対して申し入れすべきではないのでしょうか。検討して下さい」

 同調の議員から「そうだ」「恥ずかしいぞ我が国のマスコミは」などの声がとぶ。
 この発言を受けて外務省の川島裕総合外交政策局長が手を挙げて答弁を求めた。

 「こういう場でなんですが、私見を申しあげさせていただくと・・・・」
 おお、というどよめきの声。普通、党本部でのこういった会議において官僚が自ら私見を述べることはあり得ないので、一同注目したわけである。

 「今回の人質事件全般における日本マスコミの報道姿勢について意見を述べます。人質の家庭に対する取材、人質の職務を含む経歴の公表などがなされるたびにその情報が逐一MRTA側に伝わり、平和的解決にむけてのペルー政府とMRTAとの交渉が難航したのは事実です。人質の価値が高いほど、MRTA側にとっては交渉を有利に展開できるからです。アメリカ人の人質がいた時は、アメリカ側は最後まで人質の特定をしないように致しました。テレビ朝日系列の記者が公邸に潜入した時も、MRTA側に利するばかりで交渉が停滞しかかったことは事実です。日本政府は人質の人命第一に尊重しておりましたので、マスコミによる無節操な報道により交渉の行方を左右する影響があったのは誠に残念に思います。ゆうかい報道並みの配慮があってしかるべきでは、とも思いました。私見ではありますが、率直な感想でございます」

 日ごろおだやかな川島局長の発言だけに一同目を見張った。さて、マスコミの皆さんどう聞く。


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