馳浩の生き方指南

目的も夢も見つけ方がわからない
【質問】
 生きるのに疲れることってありませんか。私はいま、そんな心境です。受験生だから勉強しなくちゃいけないのに、目的なんて何もないまま、毎日が同じように過ぎていきます。勉強しなくちゃいけないと分かっているけど、やる気ナシ....です。『高校に行くからには、何か一つでも目的を持って、それに向かって努力しろ』と先生はいいます。私にはそんなものありません。夢もありません。だから、志望校もなかなか決まりませんでした。私はいま、何をするべきなんでしょうか。教えてください。

(3年・M.K)

【回答】

中学生段階での夢は、その夢を必ず実現させたいと思う気持ちのない、ある種の『あこがれ』的なものが多いと思います。ですから、数年後には、当初とは違う夢になっている場合が多いのです。

現在、夢がないことを悲観することは全くありません。だからといって、夢を持つ必要はないとは思いません。問題は、夢の見つけ方です。思うに、最初は『あこがれ』みたいなものでよいのです。そこから、もう少し詳しくそれを知るために、人に聞いたり、本を読んだり、できればお手伝いという形で体験してみたりする。そこで新たな発見があり、いよいよ興味を持てるようになれば、いつしかそれが、夢になると思うのです。

ですから、今は夢の始まりである『あこがれ』をたくさん持つようにしたらよいのです。明るく軽い気持ちで『あこがれ』を探してみてください。あせる必要は全くありません。肩の力を抜いて、今から遊園地に出掛けるようなつもりで『わくわく』させながら、探すことです。

次に、志望校の決め方ですが、これといった希望(夢)がなければ、普通科や総合学科の高校が良いと思います。あなたの先生が言うような、『何か一つでも目的をもって、高校に進学してほしい』というのは、理想ですが、高校進学はそれだけではないと思うのです。むしろ自分のやりたいことを見つけるために、高校に進学する場合もあるのです。

私自身は、自分のやりたいことを見つけること自体が立派な高校進学の目的だと思っています。ですから、高校に入ったら、『あれをやろう』『これもやろう』と具体的に決めて胸ときめかせて、今の受験勉強に頑張ってほしいのです。これがあなたの、今すべきことです。

 『生きるのに疲れる』『やる気ナシ』などは、自己逃避です。自分から逃げてはだめです。この世の中には、進学したくてもできない子や食べることにも事欠く子がたくさんいるのです。自分の努力次第で道が開かれる状況にあることを、素直に感謝し、真剣に自分と向きあって精いっぱい自分と戦ってください。

 結果はどうであれ、その時生きていることの喜びを味わえます。

『あこがれ』を明るく軽い気持ちで探そう

(平成10年)1月25日掲載


馳浩の生き方指南INDEXへ