手薄な環境保護、

法制化を急ごう


(平成8年3月18日付)



 新進党のみなさん、大変ですね。毎日、毎日座り込み。おまけに週末は電気、ガスまで止められるなんて、お寒いかぎり。岐阜の参院補選(24日)まで座り込みは終わらない、との声も聞こえてきます。国会は体力競争の場ではありません。まあ、体には十分注意してください。

 と、傍観しているうちに半月が過ぎた。座り込みを支持していた世論も65%が反対している。予算案だけが国会で審議されるわけではない。薬害エイズやいじめ問題、中国と台湾の間では緊張状態が続いている。審議する問題がたくさんある。が、新進党は予算案以外の委員会にも出席していない。

 予算案以外の各委員会を新進党抜きで審議することになったおかげで、先週は超多忙だった。文教委員会と環境特別委員会、2日連続で質問することが急に決定。徹夜の連続だった。ここ3週間で4回も質問に立っている。働いているなぁ、と自己満足。

 環境特別委員会では「環境アセスメント(開発事業などをした際、自然環境への影響を調査)と野生動物の保護」というテーマで30分間論議した。14日に岐阜・金居原揚水発電所が電源開発基本計画に組み込まれ、大幅工事が始まることが決定。工事予定地が絶滅の危機にあるイヌワシとクマタカの生息地だったことから自然保護グループが反対していたが、「繁殖期は工事を中止する」などの条件でゴーサインがでた。

 ここで問題なのが環境アセスメントの法制化ができていないということ。どういう基準で開発を認めるのか。法による環境保護をしないと着工後、生息地帯に影響があることが判明しても取り返しがつかない。OECD(経済協力開発機構)先進25か国の中で、法制化されてないのは日本だけだ。

 開発推進か自然を守るのか。両てんびんにはかけられない問題だが、人間の都合だけで自然を破壊することは許されない。地方自治体レベルでは独自のアセスメント条例を作っているところもある。地元石川の県鳥でもあるイヌワシは全国で 300羽しかいない。「第2のトキ」というありがたくない名称もある。

 生息に影響を与えるならば開発は中止、など法律で定め、相手(野生動物)の立場で「自然にやさしい」開発をすることが必要な時代だ。法制化を急ぐように要望した。

 相手の立場で考えるー予算案以外の委員会にも出席しようとしない新進党はこの言葉をどう聞くか。座り込みは国民の声を代弁しているとは、もはや、いいがたい。

巣を守る イヌワシの瞳 やわらかく


 

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