「ピケ」ではなく

「対策」を出してくれ


(平成8年3月11日付)



 先週の国会は新進党がピケを張り、予算案採決を強行しようとする与党側との間で、一触即発の緊張した状態が続いた。結論は今週に持ち越しとなったが、どうやら話し合いで決着しそうだ。乱闘にならないで本当によかった。

 乱闘になれば元プロレスラーである自分に注目が集まるのは明らか。昨年11月、創価学会の池田大作名誉会長の国会招致をめぐって「宗教法人に関する特別委員会」で与党と新進党(平成会)が乱闘まがいとなった時、マスコミに「馳浩の国会戦デビュー」などと揶揄(やゆ)されたことが頭に浮かんだ。

 新進党が座り込みを始めた4日(月曜)から、自民党では衆院だけでなく参院議員にも外出禁止の”禁足令”がでた。その時点では「5日強行採決」とささやかれ、「乱闘必至、流血の事態も」「言論の府がこれでいいのか」とマスコミも騒ぎだした。禁足は連日続いた。

 私は予算案を早期に可決し、不良債権回収を急ぎ、景気の安定を目指そうという意見。与党の一員としても「採決を行うので、ピケを張っている人を排除させてくれ」といわれれば、そうしただろう。が、それは本意ではない。そんな暴挙を国民に見せるわけにいかないし、そんなことをするために国会議員になったわけではない。乱闘するならプロレスを続けていた。それだけに、(当然なのだが)話し合い決着という方向に向かいホッと している。

 といっても結論は出ていない。新進党も急に威勢がよくなったが、1か月も審議していたなかで政府を追及しきれなかった無策ぶりは責めるべきだろう。削除、削除といっているだけでは無責任。国民に納得できる対案も出せなかった。論議する場で最後に繰り出したのがピケ戦術というのは情けない。論議する時間は十分あったはずなのに。

 もちろん、与党側も税金投入に国民の90%が反対という調査結果もある。「なぜ」という疑問に明確に答えるべきだ。先送りにしてきた不良債権を今、処理しないと大変なことになる、だから政治判断しましたというが、まだ納得を得ていない。

 国民の反対は強い。一般行の紹介融資の9割が不良債権化している事実をみても、より一層の負担を一般行にしてもらうのがスジでは。特別委員会を作って、原案のまま予算案は通して、住専については執行停止。もう一度、十分冷静に議論して国民に理解してもらう方法しかないと思っている。

住専の 尻ぬぐいする 予算案


 

[ デスマッチトークINDEXへ ]