天災は

忘れたころでなくてもやってくる


(平成8年2月19日掲載)



 阪神大震災は人間の想像を超えた出来事だった。あれから1年。「天災は忘れたころにやってくる」というが、まだ大震災の記憶が生々しく残っている中、北海道積丹半島の豊浜トンネルて゜約5万トンの岩石が崩落、20人が死亡する事故が起きた。

 テレビで現場の映像をみた。「こんなことが起っていいの」という感じ。あんな巨大な岩が崩れるなんて信じられない。事故現場は建設省が90、91年にかけて行った「全国一斉道路防災点検」で危険箇所にみなされておらず、事故前日にパトロールした時も異常はなかったという。にもかかわらず、想像を超える天災が起きてしまった・・・・。

 国民は、常にあらゆる災害に備え、政府はその対策を考えなくてはいけない時代になったということだ。日本の安全神話が崩壊したことは阪神大震災で分かったこと。思いもよらない事故だから十分な対応ができませんでした、というわけにはいかない。関東に宇宙からいん石が落ちてきたり、温暖化が進んで日本列島が水没する可能性がないわけではない。

 今回の事故では“人災”という見方は少ない。が、発破作業でトンネルの上の岩盤をどかすのに時間がかかったことに対しては、政府として手落ちはなかったのか、もっと早く発破を進めることはできなかったのか、疑問が残った。現段階では最大限努力したというが、もう一度作業行程を見直して、もっと早く効率的にできなかったかというマニュアル、命令システムを確立することが次の予期せぬ大事故への教訓になる。警察、役所、消防、病院などの連携も重要だ。

 危険は常に近くにある。道路だけみても安全というわけではなかった。

「全国一斉道路防災点検」では「要対策地域」が全国で7万か所以上あったという。地元の石川県の海岸沿いをドライブしていると「落石注意」の標識をよくみかける。実際落ちてきたことをみたことがないから危険を実感できない。そのような認識を改めないとだめだね。「同様の事故がすぐ起きる」という専門家もいる。他人事ではない。

 次代を背負う若い世代が事故にあったという観点からも悲しい事故だ。被害者の方のごめい福をお祈りいたします。二度とこんな事故は起きてほしくない。それでも、非常時の対応だけは万全を期さなくてはいけない。「天災は忘れたころでなくてもやってくる」時代なのだから。

荒雪や 天の怒りに 岩が降り

 今週、文教委員会で質問する。テーマは「ドーピング問題」について。頑張ろう。


 

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