夢ある

”天然ガスパイプライン構想”


(平成8年2月12日掲載)



 新聞の1面、テレビのトップニュースともに住専、住専のオンパレード。未公開資料が明らかになるのは大歓迎だが、それが公になるたびに頭にくる。借りた金はきちんと返せ! まったく。

 夢も希望もない住専とは違う、夢のある話をしようか。住専論議が行われているのは衆院予算委員会。我々参院議員は”手ぶら”状態だが、もちろん遊んでいるわけではない。朝から院内の委員会や党の部会・調査会などでみっちりお勉強している。先週は食糧法、安保体制についてなど連日議論した。そんな中で、参加してよかったと感じた勉強会は「天然ガスパイプライン研究会」だ。

 堅苦しい名前がついているが、難しい話ではない。天然ガスは原子力と並ぶ次世代エネルギーのひとつ。日本には世界の生産量の 0.1%しかないため、輸入に頼っている。これは石油と同じ。石油は船で運ぶ。天然ガスも同様の方法はある。それとは別に、天然ガス資源のあるロシア、中国から日本に天然ガスを供給するのにパイプライン一本で行うのが「北東アジア天然ガスパイプライン構想」。

 シベリアから北朝鮮、韓国で供給した後、日本へ、そして再びシベリアへと環状線のようにパイプラインがつながる。地下や海を通る天然ガスパイプラインは知られていないが、欧米では一般的。幹線の天然ガスパイプライン網を持たないのは先進国では日本くらいなものだ。中国、北朝鮮とは必ずしも政治的に親密とはいえないが、建設を通して信頼を築き上げ、天然ガスの供給だけでなく各国の心をつなぐラインになるなら、何て夢のある話だろう。

 次世代エネルギーの第一候補である原子力は安全性、安心感という点で国民に信用されていないといっていいだろう。環境に優しい、安全で安心して利用できる資源の確保が国益にとって重要だ。埋蔵量も天然ガスは半永久的なものだという。米国では2015年には電力供給の27%は天然ガスになり、原子力を抜くという予測も出ている。

 国のエネルギー政策を転換するのは容易ではない。陸路だと1キロ10億円かかるといわれる資金面も問題がある。天然ガスパイプライン構想はまだ産声をあげたばかり。いますぐ転換を、というわけではない。ただ、石油に限りがあり、原子力への危険性が叫ばれるなかで環境に優しい、安全で安心して利用できるエネルギー資源について論議を高めるべき。その起爆剤になる、夢のある構想だと感じた勉強会だった。

国つなぐ パイプラインが 夢つなぐ


 

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