国会は

原稿を読む場所じゃない


(平成8年1月29日付)



 通常国会が始まった。「一竜対決」と騒がれていた割には、橋本竜太郎首相の施政方針演説、新進党の小沢一郎党首の代表質問、ともに今ひとつ。クロストークの場面がないため、緊張感がなかった。原稿を棒読みするだけでは面白いはずがない。

 小沢さんの代表質問は質問がなく、党首選の時に自分が主張していた意見を述べただけ。政府に対してというよりも、「新進党の皆さん、この政策でいきますよ、納得してますよね、いいですねっ」と対立候補だった羽田孜さんや新進党党内で意見の異なる議員に対しての”宣戦布告”に思えた。

 自分の党の総裁だから文句はいいたくないが、橋本首相の施政方針演説も退屈だった。衆院の演説と参院での演説は一言一句変わらない。多くの参院議員は衆院での首相の演説をテレビで見ていたはずだ。私も見ていた。その演説と同じものを聞かされたんじゃたまらない。参院自民党の村上正邦幹事長も「検討の余地がある」と話していた。

 しかも、22日午後2時から衆院で始まるはずだった首相の演説は1時間半も遅れた。衆院で演説が始まる時間も必然的に遅れることになる。夕刊でも読んで−と新聞を広げるとビックリ。首相の施設方針演説が紙面に載っているじゃないか。議員にも配られないマル秘資料がなんで外部に流れているのか。テレビで見て、新聞で読んだ内容を再び何十分も聞く気になれますか。長年の慣習だから、橋本首相の責任とはいえないけれどもね。

 一つのアイデアとして、施設方針演説は衆院でやり、参院では首相は原稿をみないで話し、事前に決めた各党2、3人と10分ずつクロストークする。時間がくれば、予算委員会で続きを行う。こっちの方が参院の独自性が出せるし、面白い。

 国会は論戦の場だ。原稿を読む場所じゃない。政治家が官僚のロボットだといわれるのは、国会での”投人的発言”が原因だ。「元気を出せ」といわれ、声を大きくして話すだけ。意味が違うだろ。言葉の端々にその人らしさが出る演説を聞きたかった。

 本会議はある意味でセレモニー化している。本番は次の予算委員会。住専問題などをめぐり、聞いていてハラハラするような論戦を今度こそ期待したい。

政治家は 本音で語れ 本会議


 

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