老人ホームで見た

”仕事の原点”


(平成8年1月22日掲載)



 阪神大震災から1年たった。いまだに10万人近くの人が非難生活を強いられているという。本当に大変なことだ。「不幸中の幸い」というと被災者に怒られそうだが、阪神大震災で日本人のボランティア精神が思いのほか発揮されたことは喜ぶべきことだろう。

 日本人すべてがボランティア精神を持つように訴えている者として、まず私自身がボランティア議員として働かなければいけない。16日には午前10時から午後4時まで、石川・中島町の特別養護老人ホーム「寿老園」「秀楽園」で一日ボランティア活動をみっちり行った。ベットシーツ交換、レクリエーション(風船を使ったバレーボール)、入浴時の洗髪、食事の配ぜん・後片付け、その後はお年寄り相手に古典の話などをした。

 やってみてビックリ。こんなに忙しいものとは思わなかった。体力的にもキツかった。「寿老園」には約80人、「秀楽園」には約1000人のお年寄りがいる。彼らを支える職員の人たちには頭が下がる。職員はヘルパー、栄養士など20人くらい。入浴を例にとると、80人が次々に入る。80人分洗髪するのは大変だよ。食事も、健康状態をみて、お年寄り一人一人別のものだ。

 それでも、職員の顔は明るい。かれらは「やりがい」「生きがい」をもって仕事をしているからだ。収入や労働環境に不満を挙げればきりがないはずだが、口に出さない。仕事をする原点を見た感じがしたね。

 今の若い人は「オレは社会の役に立っているのか」という悩みが多いと思う。そんな人が老人ホームでボランティア活動をすれば、働くことの意味が分かるんじゃないかな。どんな仕事でも社会にとって必要なんだ。一生懸命働いて、税金を払う。その税金がお年寄りの役に立っている。例えば、そういう観点から働きがいというものをとらえることもできる。

 「寿老園」のお年寄りたちに「議員さんに洗髪してもらって、本当に感謝してます」といわれたが、こちらの方こそ「ありがとうございました」といいたい。老人ホームの現状が分かり、介護する施設・人材の必要性も痛感した。何より、社会の役に立っているという誇りを持って働いている職員の人々の姿を見ることができた。

 国会議員は「やりがい」に満ちあふれている。22日から国会が始まる。一竜対決が激しくなりそうだが、自分は一歩一歩できる範囲で頑張るしかない。「寿老園」の職員のように。

冬の日も あたたかな家 寿老園


 

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