期待してますよ、

橋本さん


(平成8年1月15日掲載)



 橋本内閣がスタートした。自民党にとっては、宮沢喜一さん以来約2年半ぶりの首相だが単独政権でないだけに、「喜びも ちゅうくらいなり 新政権」といったところだ。

 自民党総裁選では橋本さんではなく小泉純一郎さんを支持したが、橋本さんに期待する点は多い。閣僚、党役員の経験も豊富。通産相として日米自動車交渉で米国と対等以上に渡り合うなど自民党の、いや日本のエースだ。

 私も参院選で応援してもらった。話していると武道家という感じがする。剣道5段。大学で体育会に所属していた本格派だ。礼儀正しく、言葉を選んできちんと話す。意志の強さが伝わってくる。総理大臣は調整役というより日本国の方向性を打ち出す象徴となるべき、発言するところは強い形で発言しなければならない。橋本さんなら連立内閣でもリーダーシップをとってくれるだろう。

 最も期待することは福祉問題への対応。橋本さんは自他ともに認めるその道のエキスパート。高齢化社会を控え年金、医療に続き第3の保険となる「公的介護保険」の創設の国民的議論を深めるようにリードしてもらいたい。

 期待に満ちた橋本新内閣は閣僚ポスト選びでいきなり批判を浴びた。自民党ではポストを旧派閥ごとに割り振った。なんのために派閥を解消したのか。人材が多すぎるため、旧派閥内から選ぶことで、選ばれなかった人を納得させる大義名分とするしかない、という好意的な見方もできる。逆に、派閥の枠組みがあるため登用したい人を起用できないジレンマがでてくる。

 ポストをたらい回しすることも、自民単独政権の時に批判されていたものだ。今回も、社会党の議員が厚生大臣から国土丁長官、環境庁長官とクルクルたらい回しされたと報じられた。大臣はその省庁のエキスパートがなるべき。橋本内閣で何人エキスパートがいるだろうか。国民も各大臣がその省庁を代表する人物とは思ってないだろう。大臣になれるならどのポストでも、という発言は大臣ポストの価値を自ら下げるものだ。

 それでも組閥は首相指名当日(11日)には終わったし、出足としてはまずまずだろう。問題は、22日からの通常国会。橋本さんがどう手腕を発揮するか楽しみだ。満を持しての登場だけに、思いっきり活躍してもらいたい。国民にそっぽをむかれることになった政治腐敗、癒着の構図など、旧来の悪い部分を捨てていかねばならないのは当然だろう。

 

荒波に いざ船出せむ 昇り龍

 期待してますよ、橋本さん!


 

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